高1でエース10番抜擢…中学から有望株「自信掴みました」 強豪部活サッカー“6年のメリット”
先輩たちの姿を見て大きな刺激に…
中学から来た「内進生」が必ずレギュラーを取れる環境ではない。実際に今年のレギュラー11人の中で内進生は加藤とCB(センターバック)鷹見豪希、GK水野稜の3人のみ。ベンチはMF樽井蓮太朗と中村一輝の2人のみ。数字だけ見ると狭き門だが、それでも大きな財産があると守備の要となっている鷹見も口にする。 「外進生はうまい選手がたくさん入ってくるのですが、6年間やってきた僕らが軸になっていかないといけないという気持ちは常に持っています。そのうえで大事なのは中学から積み重ねてきたことをチームのために発揮することと、外進生をしっかりと受け入れて一緒に切磋琢磨していく度量。この2つを持つことで成長につながっていると思います」 試合の流れを変えるスーパーサブとしてチームの重要なアクセントとなっている中村は、中学時代はレギュラーとして全国中学サッカー大会やリーグ戦でプレーするも、高校に入ってからは激しい競争の中でなかなかスタメンが掴み切れない時間が続いている。だが、モチベーションは落ちるどころか日に日に増しているという。 「外進生が手強いことは分かっていましたが、高校進学時にまた新たな気持ちを抱くことができました。中学時代と同じ顔ぶればかりという環境より、『もう一度、頑張らないといけない』と奮い立ってリスタートを切るような気持ちで挑めるのも中高一貫のメリットだと思います。中学時代より努力しないといけないですし、なにより高校サッカーで目指すところが明確にあったので、向上心に加えて、高校でもチームに貢献したいという気持ちは強い。だからこそ、選手権予選決勝は出場できませんでしたが、その分、全国では必ずという気持ちはあります」 11月9日に行われた第103回全国高校サッカー選手権大会岐阜県予選決勝のスタンドには、帝京大可児中の選手たちも全員が熱戦に目を向けていた。 「試合はよく見ますし、平日には練習試合をしたり、一緒に練習したりできる。中学の時から高校で同じポジションで出ている先輩を間近で見ることができて、プレーをしっかりと見て、研究して、真似をしたり、そのうえで自分の武器は何かを考えたりしていました」 こう中村が語ったように、先輩たちの姿を見て大きな刺激と学び、そして憧れを抱く選手たちがいる限り、6年間のスパンでの育成の中で大きく成長する選手を生み出していく。その輪廻がチームを、ひいては日本サッカーの可能性を広げていく。帝京大可児からその息吹を感じ取ることができた。
FOOTBALL ZONE編集部