2023年プロ野球 球団別「劇的すぎるサヨナラゲーム」(セ・リーグ編)
■広島東洋カープ:仕事人の一打に大喜びしたあの人
3連覇以降、4年連続でBクラスに喘いでいた広島カープだが、今季は新井新監督のもと、2位へと躍進。そんな「新井カープ」らしい試合だったのが4月15日のヤクルト戦だ。 この日輝いたのは、翌日に35歳の誕生日を迎えるベテラン、秋山翔吾。1点ビハインドの9回裏、2死走者なしから代打の堂林が四球を選び、続く秋山翔吾が自身11年ぶりとなる逆転サヨナラアーチを描き、喜びを爆発させた。秋山と言えば前年8月6日の原爆投下の日に開催された「ピースナイター」で移籍後初のサヨナラヒットを打って見せたが、ここぞの場面での仕事人ぶりはさすがだ。 そんな秋山以上に喜んだのは、「就任後初のサヨナラ勝利」となった新井監督。普通ならベンチで秋山を出迎えるはずが、何と選手と一緒にホームベースで待ち構えていたのだ。 『みんなが待ってくれる瞬間は、なかなかあることではないのでうれしかった。その輪に首脳陣が出てくるのは12球団でもあまり見たことがなかったし、新井監督のリアクションがすごく素直でよかったなと思います』 ~『中国新聞デジタル』2023年5月17日配信記事 より(秋山翔吾の言葉)
■阪神タイガース:不動の4番、平常心で放った一打
今年のプロ野球を大いに盛り上げた阪神タイガース。なかでも、劇的なサヨナラ打と言えば、記憶にも新しい日本シリーズ第4戦だ。 3対3で迎えた9回裏、1死三塁の場面で、オリックス・バッテリーは2番・中野、3番・森下と2者連続の申告敬遠で満塁策。4番・大山悠輔との勝負を選んだ。甲子園を異様なボルテージが包むなか、とにかく「冷静さ」を意識したのが大山だった。 『もう冷静に行こうと思っていたんですが、ファンの皆さんの歓声が力になりました』 ~『スポニチアネックス』2023年11月1日配信記事 より(大山悠輔の言葉) 果たして、フルカウントから放った打球はレフト前へのサヨナラタイムリー。試合後には改めて、熱烈な歓声を送るファンに向けてメッセージを送った。 『独特の雰囲気というか、僕たちも初めてなので、ちょっと難しい部分ありますが、このすごい歓声のおかげで力を発揮できていると思っています』 ~『スポニチアネックス』2023年11月1日配信記事 より(大山悠輔の言葉) 結果的に第7戦までもつれた日本シリーズにおいて、ひときわ大きな意味を持つサヨナラ劇となった。 本拠地開催だからこそ生まれるサヨナラの歓喜。来季のプロ野球でもそのドラマを存分に味わいたい。