どんな学校?推薦理由は? センバツ21世紀枠の候補9校
第96回選抜高校野球大会の「21世紀枠」の各地区候補9校が8日、発表された。2024年1月26日の選考委員会で2校が選ばれ、一般選考校とともに来春開幕のセンバツに出場する。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 9校のプロフィルと推薦理由を紹介する。 ◇別海(北海道) 北海道東部の別海町に位置する道立校。生乳生産量が日本一の酪農の町で、乳牛の数は人口(1万4246人)の約8倍。近隣の市町村の産業を支える人材養成のため、酪農や農業の学科がある。野球部員数は19人で選手は16人。最低気温が0度未満の冬日が年平均で半年以上あるが、農業用のビニールハウスを活用するなど工夫して練習する。春夏の甲子園大会の出場経験はないが、今秋の北海道大会では大会初勝利からベスト4入りを果たした。 ◇仙台一(東北、宮城) 仙台市にある県立進学校。1892年創立。政治学者の吉野作造ら多数の著名人を輩出してきた。野球部も歴史が古く、文武両道を追求し、ここ数年で複数の東大合格者を出した。部員数は44人。夏の全国選手権に過去3回出場。近年は県内で上位進出も多く、今秋の東北大会2回戦では強豪の八戸学院光星(青森)に2―5と敗れたものの、地力の高さを示した。阿部翔人部長は2011年の東日本大震災で被災し、翌年に石巻工(宮城)主将としてセンバツで選手宣誓をした。 ◇水戸一(関東・東京、茨城) 水戸市所在の県立進学校。全国有数の進学実績を誇り、野球部員も毎年、難関大へ進んでいる。部員は26人。過去に3回、夏の全国選手権に出場したが、近年は部員の確保が課題になっている。文武両道のため、平日の練習時間は2時間程度に限られる。狭いグラウンドを他部と共有する環境の中、今秋の茨城大会で4強入りした。早大野球部初代監督で「学生野球の父」と呼ばれたOBの飛田穂洲(すいしゅう)が提唱した「一球入魂」を意識し、日々の練習に工夫して励む。 ◇帝京大可児(東海、岐阜) 岐阜県中南部の可児市にある私立校。サッカー部が全国大会常連で部活動が盛ん。野球部は春夏の甲子園大会出場実績はないが、2022年夏の岐阜大会準優勝をはじめ、近年県内では上位に食い込んでおり、あと一歩で強豪に惜敗してきた。学業との両立を図りつつ、シーズンオフには近隣の小学校を対象にした野球教室を実施し、地域貢献に励む。「技術の向上は練習だけにあらず」との監督の考えから、近隣の清掃を行うなど、ボランティア精神や社会性を身につける活動にも取り組む。 ◇富山北部(北信越、富山) 富山市の県立校。全国的に珍しい「くすり・バイオ科」があり、地元で盛んな薬産業を支える人材育成に力を注ぐ。1969年に春夏の甲子園に出場したが、以降は富山大会で初戦敗退が続くなど低迷した時期もあった。第93回大会(21年)は水橋との連合チームで21世紀枠の北信越の候補校となった。その後、統合で閉校となった水橋の思いを背負って活動し、今年度の富山大会では夏と秋に連続で準優勝した。地域貢献活動にも励むなど少子化が進む地元にとって心の支えになっている。 ◇田辺(近畿、和歌山) 和歌山県南部の田辺市にある伝統校。県立ながら併設型の中高一貫教育で進学実績が高い。選手は1年生9人、2年生9人とベンチ入りメンバーが20人に満たないが、その分、指導者が一人一人をこまやかにフォローし選手の積極性が向上した。今秋の和歌山大会では市和歌山、智弁和歌山の強豪を破って準優勝。近畿大会も1回戦負けながら実力校の京都国際を相手に2―3と競り合うなど力をつけた。「愛される野球部になろう」をモットーに地域貢献に努めている。 ◇岡山城東(中国、岡山) 岡山市内にある県立校で、県内トップクラスの進学校。甲子園大会には過去に春3回、夏2回出場。練習は朝1時間、放課後1時間半程度でグラウンドもサッカーなど他部と共用だが、選手が輪番でその日の振り返りをノートに記入し、それを参考に主将らが次の練習メニューを考案する。効率的で集中力を高く持った練習で、今秋の岡山大会では準優勝を果たした。最寄り駅の駐輪場の清掃活動や小学生を対象とした野球教室など地域貢献にも励んでいる。 ◇大洲(四国、愛媛) 愛媛県西部の大洲市に位置する県立伝統校。青色発光ダイオードの開発に貢献しノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏も卒業生。過疎化の中、現2年生は17人もいて下級生の時から主力として活躍した。準々決勝に進出した今秋の愛媛大会では最終的には敗れたが、一時は大量リードを奪う高い得点力を見せた。センバツ、全国選手権ともに出場歴はなし。2018年の西日本豪雨で被災した選手も多く、ボランティア精神を重視。毎冬に海岸清掃を実施している。 ◇鶴丸(九州、鹿児島) 鹿児島市にある県立校。旧制尋常中として1894年に設立された伝統校で、九州屈指の進学校。「ベースボール」を「野球」と和訳したことで知られ、野球殿堂入りしている中馬庚(かのえ)もかつて教壇に立った。1925年の第2回センバツに鹿児島勢として初出場。グラウンドが狭い上、練習時間は年間を通じて平日は1時間程度しかないが、選手のアイデアで練習を効率化したことで戦績が向上。今秋の鹿児島大会では強豪を次々と破り4強に進出した。 ◇都道府県別推薦校 <北海道> 別海 <東北> 青森 弘前南 岩手 水沢工 秋田 大館桂桜 山形 山形南 宮城 仙台一 福島 光南 <関東・東京> 茨城 水戸一 栃木 佐野 群馬 明和県央 埼玉 坂戸 山梨 吉田 千葉 千葉商大付 東京 日大二 神奈川 鎌倉学園 <東海> 静岡 浜松城北工 愛知 小牧南 岐阜 帝京大可児 三重 桑名工 <北信越> 長野 赤穂 新潟 六日町 富山 富山北部 石川 金沢桜丘 福井 若狭 <近畿> 滋賀 草津東 京都 京都精華学園 奈良 奈良北 和歌山 田辺 大阪 興国 兵庫 尼崎工 <中国> 鳥取 鳥取東 島根 津和野 岡山 岡山城東 広島 庄原実 山口 下関西 <四国> 香川 大手前高松 徳島 徳島科学技術 愛媛 大洲 高知 宿毛工 <九州> 福岡 春日 佐賀 神埼 長崎 対馬・上対馬・壱岐商 熊本 必由館 大分 別府翔青 宮崎 日南 鹿児島 鶴丸 沖縄 宜野座