石原元知事の責任の有無を検証へ 小池知事が豊洲住民訴訟の対応見直し
豊洲市場の用地購入をめぐる住民訴訟をめぐり、東京都の小池百合子知事は20日の定例会見で、これまで「石原慎太郎元知事に都への賠償責任はない」としていた対応方針を見直し、購入当初からの事実関係を検証する考えを明らかにした。訴訟代理人も交代し、新たに訴訟対応特別チームを編成する。 【中継録画】小池百合子都知事が定例会見 豊洲移転や住民訴訟対応について
「用地選定や土地購入の経過が不透明」
この住民訴訟は、2012年5月に東京地裁に起こされた。土壌汚染が確認されたのに、石原元知事が、その対策費用を適正に見込まない価格で東京ガスと豊洲市場用地の売買契約を結んで都に損害を与えたとして、石原元知事に都が土地購入額の約578億円を請求するよう求めている。これまで21回の口頭弁論が行われている。 小池知事は、豊洲市場の用地選定や土地購入契約の経過が不透明で、かつ不適正ではないかとの疑惑が指摘されており、事実関係や責任の明確化が適正な都政運営を行う上で不可欠として、対応を見直すと表明した。 訴訟の代理人を交代して新たに編成される訴訟対応特別チームは、石原元知事の法律的な損害倍賞責任の有無や範囲に関する新しい準備書面を作成し、進捗に応じて裁判所に提出する。2月9日の第22回口頭弁論を4月初旬まで延期するよう、東京地裁と原告側に要請する方針。 小池知事は「私の目標は都政改革であり、都政の見える化。今回の対応は、特に不透明だった豊洲問題を明確にする一手段」と主張。「石原元知事は『ここを安全な土地にする』『日本の技術を使えばいいんだ』と述べていたが、結果としてこのような事実になっている。同じレールにのっているほうが無理があるのではないか」との考え方を示した。 元知事の責任の有無については「よく調べないとわからない。そのためにチームを形成する」、豊洲移転の判断に与える影響については「それとは切り離して考えたい」と述べた。 (取材・文:具志堅浩二)