柳楽優弥『ライオンの隠れ家』は “神作” になれるか…終盤で失速してラストが「想定内」になってしまいそうな不安
11月29日(金)に第8話が放送され、物語もいよいよ終盤に差しかかってきた柳楽優弥主演のヒューマンサスペンスドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)。 胸がじんわりと温かくなるヒューマンドラマ要素と、社会の闇が妖しくうごめくサスペンスドラマ要素のハイブリッド作で、これまでの評判は上々だ。しかし、最終話あたりで失速してしまうのではないかという懸念もあって……。 ■向井理演じる夫は想像以上にヤバいヤツ!? 市役所で働く真面目でやさしい青年・洸人(柳楽)は、自閉スペクトラム症の弟・美路人(坂東龍汰)と2人暮らし。弟の精神状態が搔き乱されないよう、毎日・毎週決まったルーティーンの生活をするという、平凡ながら平穏な暮らしを送っていた。 そんなある日、2人の家に「ライオン」と名乗る小さな男の子が現れ、「ここで暮らす」と言い始める。ライオンは洸人・美路人の異母姉弟で、もう長年会っていなかった姉・愛生(尾野真千子)の息子だと判明。ライオンが加わったことで、平凡ではなくなったが、慣れないながら3人暮らしで絆を深めていくというストーリーだ。 一方、ライオンが2人を頼ってきたのは、愛生の夫でライオンの父である・祥吾(向井理)から逃れるため。祥吾は妻子に暴力を振るうDV夫で、さらに自身の一族が経営している建設会社は、政治家と裏でつながり、よからぬことをしている可能性が濃厚。 第8話ラストの段階で、祥吾の建設会社と政治家が進めているリニア関連事業の関係者が何人も失踪しており、そのうちの1人は遺体で発見されているとのこと。つまり、失踪者たちは殺されているのかもしれず、祥吾がその一連の事件にかかわっているヤバい人間だという疑惑が発生している。 ■サスペンスパートでどんでん返しはなさそう さて、今夜放送の第9話を含めて残すところあと数話だろうが、率直に言って今後のおおまかな展開や結末は予想しやすく、それゆえに終盤でドラマの吸引力が弱まっていかないか、という懸念がある。 まず、サスペンスドラマ要素では、今後どんでん返しは起きなさそうな気配になっている点に注目したい。 物語中盤までは向井理演じる祥吾が “白” なのか “黒” なのかが曖昧だったが、現時点でクズなDV野郎であることが確定済み。失踪(殺人)事件にどこまで関与しているかはまだわからないが、物語の発端となる母子を苦しめていた “黒” の存在であることは間違いない。 祥吾がどんな立ち位置なのかがサスペンスパートの大きな謎としてあったが、解明されたいま、今後のストーリーでそれ以上のショッキングな事実が明かされることはなさそうである。 そうなると、ヒューマンドラマ要素のほうで物語に引き込む “吸引力” が問われる。けれど、ある程度の感動はするだろうが「想定の範囲内の感動」になってしまうかもしれない。 ■ライオンとの別れが描かれるのは既定路線か というのも、タイトルから結末がある程度予測できてしまうからだ。 タイトルが『ライオンの隠れ家』なので、洸人・美路人兄弟と暮らす家はライオンにとって定住地ではないということだろう。つまり、最終話で兄弟とライオンの別離が描かれ、兄弟はまた2人暮らしに戻る可能性が高い。 ライオンとの別れが近づいてきているため、主人公に感情移入していれば寂しさや切なさが募ってくるとは思うし、実際に最終話でライオンが去っていくシーンが描かれれば涙腺を刺激される視聴者も多いだろう。 だが、逆に考えると、もう終わり方が見えているとも言える。 もちろん、エンディングまでのストーリーのディテールはわからない。ただ、予想どおり、大筋は主人公兄弟とライオンが別々の道を歩むことになるラストだとしたら、想定を飛び越えるほどの大きな感動は訪れないのではないか。 今夜の放送はクライマックス間近の第9話。心配が杞憂に終わり、想像を上回る感動で “神作” となってくれることを期待している。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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