姫野が復帰、リーチはケガ、松島は選外……オールブラックス戦へコアメンバーの明と暗!
エディー・ジョーンズHCはオールブラックスにも本気で勝ちにいく。10月10日、関東・宮崎合宿及びヨーロッパ遠征に参加する日本代表メンバー39名を発表。セレクションを終えたジョーンズHCは、次のようにコメントした。 【全ての写真】ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズHCほか 「まずニュージーランドと試合をするのは毎回毎回最高のベンチマークになると覚悟している。過去数十年80%近い勝率を誇る強い相手であり、我々の現状が確認できる最適な相手。素晴らしいチャンスであり、素晴らしいタイミング。今回のメンバーはミックスしたメンバー。これまでトレーニングに関わってきた8名が戻って来る一方、新しいテストラグビーにチャレンジする5名がいる。もう一度チームをリビルトして、2週間いい準備したい。NZと対戦する上で大事なのはどんどんハードにチェイスすること。FWは東京でセットピースを集中的に、BKは宮崎で走り込んで準備していきたい」 FWとBKを分けて合宿する意図を問われると、指揮官はこのように返答した。 「FWにはセットピースを集中的にトレーニングさせたいため、ふたつに分けた。FWには対戦相手が必要なため、横浜キヤノンイーグルスと浦安D-Rocksの協力を得て、トレーニングする。NZはスクラム、ラインアウトが強いチーム。しっかり準備をしていきたい」 ジョーンズHCはオールブラックスと対峙する時こそ、マインドセットが重要だと説いた。 「メンタルでひと言でいうと恐れないこと。NZを相手にどんどん仕掛けて、どんどん追い詰めることが大事。NZと対戦すると心配に思うことが多いと思うが、恐れないこと。これができれば、我々がNZに初めて勝つ日本代表になれる。過去の対戦での平均スコアは14-85。ふたつの国の間には大きなギャップがあるが、相手のことを尊敬し過ぎてしまうきらいがある。相手に敬意を払うが、相手を追い詰めること、相手を恐れず戦っていきたい」 さらに陣形が整った状態であるストラクチャーでの戦いを持続したいと続けた。 「NZはアンストラクチャーからのアタックは世界一のチーム。我々はストラクチャーでのアタックを長く続けること、キックする場合もストラクチャーからのキックをしたい。実行するのは難しいが、規律を高く保ってストラクチャーからキックチェイスすることで、相手をイライラさせることができるし、いいディフェンスができる。相手を敵陣に押しとどめていいアタックができると思う」 そして終盤まで接戦に持ち込むことが大事だと付け加えた。 「60分まで接戦に持ち込めば、勝つ可能性が増えると思う。(スコット・)ロバートソンHCのもと、NZは先制するとどんどん点差を広げていくので、60分まで接戦に持ち込めばどうなるかわからない」 今回のセレクションポリシーについて質問が飛ぶと、ジョーンズHCはこう答えた。 「セレクションはその時点で出場可能なベストの選手であるべき。12名はケガやコンディションなどの問題で選んでいない。その場合は次の選手を選ぶことになる。今朝スタッツを見たが、2020年から2023年にかけて33名がニューキャップを手にしたが、今年はすでに17名がニューキャップを得ている。新しい世代をテストし続けることによって、日本代表の選手層を厚くし、スコッドの質を上げることできると思う。NZ戦に向けてベストのメンバーをつくり上げたい」 これがベストな日本代表メンバーだ。関東・宮崎合宿及びヨーロッパ遠征参加メンバー39名は以下の通り。 【FW:20名】 岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス)4 竹内柊平(浦安D-Rocks)10 為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)7 オペティ・ヒル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)0 三浦昌悟(トヨタヴェルブリッツ)14 茂原隆由(静岡ブルーレヴズ)5 坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)46 原田衛(東芝ブレイブルーパス東京)7 松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ)2 秋山大地(トヨタヴェルブリッツ)1 エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)2 ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)18 サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ)7 サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)5 下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)10 姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)32 ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京)10 アイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ)4 テビタ・タタフ(ユニオン・ボルドー・ベグル/フランス)18 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)12 【BK:17名】 飯沼蓮(浦安D-Rocks)0 小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ)6 齋藤直人(スタッド・トゥール―ザン/フランス)21 藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)6 立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)60 中楠一期(リコーブラックラムズ東京)0 長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)14 マロ・ツイタマ (静岡ブルーレヴズ)4 ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)13 濱野隼大(コベルコ神戸スティーラーズ)1 池田悠希(リコーブラックラムズ東京)0 梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)4 シオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ)13 ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ)4 ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)24 松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)0 矢崎由高(早稲田大学)6 【練習生:2名】 村田大和(京都産業大学)0 海老澤琥珀(明治大学)0 ※所属チームの後の数字は日本代表キャップ数 ※タタフ、齋籐はヨーロッパ遠征から合流 ※飯沼、矢崎、村田、海老澤は関東・宮崎合宿まで参加 また、ケガやコンディション調整中などを理由に未招集となったメンバーも発表された。 淺岡俊亮(トヨタヴェルブリッツ) 稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ) 木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ) ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ) ティエナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ) サミソニ・トゥア(浦安D-Rocks) 根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) 福田健太(東京サントリーサンゴリアス) 堀越康介(東京サントリーサンゴリアス) リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京) 李承信(コベルコ神戸スティーラーズ) 山沢拓也(埼玉パナソニックワイルドナイツ) 『ラグビーワールドカップ2023』で主将を務めた姫野が復帰した点を聞かれたジョーンズHCは? 「姫野とは数回会っているが、ヒジの手術後の経過もいいと聞いている。フィジー戦後に面談したが、トレーニングの数値もいいし、回復している。彼に求めるのは彼史上最高のプレーをすること、そして世界一のバックローになることが彼の仕事」 初招集となるPRヒル、SO中楠、SO/FB松永の評価を求められると。 「(ヒルは)とても才能あふれる選手。以前、オーストラリアで彼を見たことがあるが、彼の年代で一番いい選手だった。とても能力に長けているが、どれだけハードワークできるか、この2週間のキャンプで見ていきたい。ここでハードワークできれば、セレクションにかかってくる選手だと思う。 中楠はリコーの試合で見て、いいものを持っていると思った。李がケガで招集できず、若い10番を探していたところ、中楠は我々の求めるスタイルを実行できる選手だと判断した。彼はラインにどんどん仕掛け、勇気を持ったアタックができる。そしてボールを持ってない時のワークレートが高い。プレーにどんどん絡んでいく姿勢があり、エネルギッシュなプレーを見せている。一か八かのプレーもあるが、彼の成長に期待している。中楠はスコッドに入っている。テストラグビーに出場できるか否かは今後のトレーニングにかかっている。これまで高本(幹也/東京SG)も我々のチームでトレーニングをしたが、彼には課題があるので、それに取り組んでもらっている。人数制限がある中フィットできるか否か、見ていきたい。 松永は東芝で一度会って話をした。李がいないので、10番と15番の連係が必要だし、10番と15番を両方できる松永は貴重な存在。松永はフィットすると判断した」 負傷組にも名前がなかったSO松田力也(トヨタV)とWTB/FB松島幸太朗(東京SG)についてもジョーンズHCは言及した。 「ふたりはそれぞれケースが違う。松田は最初のスコッドでトレーニングしていたが、課題に取り組む時間が必要なためにクラブに戻した。より良くなったら戻って来るだろう。 松島は今年は招集の対象ではないし、昨季のリーグワンでのパフォーマンスを見ても招集のレベルにないと見ている。しっかり身体を直して、リーグワンでいいパフォーマンスを見せればまた戻って来ると思う。松島がどれだけ素晴らしい選手かはわかっているが、丁寧に身体を治して、フィットネスを上げなければならない。インターナショナルレベルでラグビーをするのには80%のフィットネスでは無理だし、80%のコミットメントでは無理。現在ボールインプレーは35分とここ20年変わっていないが、インテンシティが格段に上がっている。フィジー戦は60分までインテンシティを見せたが、残り20分もインテンシティ高くラグビーをしていかないといけない」