ジュード・ロウが『The Order(原題)』で悩めるFBIエージェントを演じる ― 21年ぶりのアカデミー賞ノミネートとなるか?
8月31日にヴェネツィア国際映画祭で世界初公開されたジャスティン・カーゼル監督の映画『The Order(原題)』が、今週トロント国際映画祭でも上映された。 ジュード・ロウが『The Order(原題)』で悩めるFBIエージェントを演じる ― 21年ぶりのアカデミー賞ノミネートとなるか? この作品は1980年代のFBIによる国内テログループの追跡を描いたケヴィン・フリンとゲイリー・ガーハートの1989年の書籍『The Silent Brotherhood』を基に、『ドリームプラン』でアカデミー賞ノミネート経験のあるザック・ベイリンが脚色した作品として、ヴェネツィア同様に批評家や観客から高く評価されている。 賞レースに関しても、特に注目すべき要素がある。それは主演のジュード・ロウである。ロウは、故アンソニー・ミンゲラ監督の『リプリー』(1999年)や『コールドマウンテン』(2003年)でアカデミー賞ノミネートの経験がある俳優で、今はさらに深みのある演技を見せている。 現在51歳の彼は、昨年、カンヌ国際映画祭にヘンリー8世を演じた『Firebrand(原題)』を引っ提げて登場。そして、今年のトロント国際映画祭では、ロン・ハワード監督の『Eden(原題)』と『The Order』の2作品でその姿が確認されている。 『The Order』でジュード・ロウはテリー・ハスクという役を演じている。ハスクは過去の事件に悩まされる疲れたFBIエージェントで、アイダホに移り住んでゆっくりとした生活を求めるが、そこで太平洋岸北西部で発生する一連の犯罪に巻き込まる。これらの犯罪は、すべてネオナチ系白人至上主義団体「アーリア・ネイションズ」の分派である「ザ・オーダー」に繋がっていることをハスクは察知する。 この団体は、ニコラス・ホルトが非常に効果的に演じるカリスマ的な若い人種差別主義者ボブ・マシューズによって率いられており、ハスクはマシューズとの追跡劇に巻き込まれ、多くの残虐な事件と血が流れる状況に直面する。 1983年を舞台にしているにも関わらず、この映画は今日においても非常に関連性があると感じさせられる。実際、マシューズと「ザ・オーダー」にインスピレーションを与えたのは、白人至上主義者ウィリアム・ルーサー・ピアースの1978年の著書『The Turner Diaries』であり、この書籍は1995年4月19日にオクラホマシティで連邦ビルを爆破したアメリカ人たちや、2021年1月6日に米国議会に攻撃を仕掛けた者たち、そして現在もテロ行為を計画している者たちを過激化させた。 この映画は非常に暗く、また問題を提起する内容で、現実の世界も同様に厳しい状況にあるため、興行的には難しいかもしれない。しかし、もし賞の審査員たちが観るように動かされれば、彼らはジュード・ロウに深い印象を受けることになるだろう。