作家・梁石日さんが死去、87歳…「血と骨」「夜を賭けて」で在日文学を牽引
「夜を賭けて」「血と骨」などの作品で、在日文学を牽引(けんいん)した作家の梁石日(ヤン・ソギル、本名・正雄=ジョンウ)さんが29日、老衰のため死去した。87歳だった。告別式は近親者で行う。 【写真特集】ベッケンバウアーさん、八代亜紀さん…追悼・今年亡くなられた方々
大阪市に在日朝鮮人2世として生まれた。経営していた印刷工場が29歳の時に倒産、各地を転々とした後、東京に出てタクシー運転手として10年ほど働いた。その体験を生かして書いた「タクシー狂躁曲」で、1981年に作家デビュー。同作は崔洋一監督の映画「月はどっちに出ている」の原作となった。94年刊の直木賞候補作「夜を賭けて」も、日韓合作映画となった。
自身の体験をモチーフにした作品が多く、実父をモデルに、むき出しの人間存在と、それに翻弄(ほんろう)される人々を描く大作「血と骨」は、98年に山本周五郎賞に輝き、ビートたけしさん主演で映画化もされた。