「憐れみの3章」ランティモス監督&エマ・ストーンのメイキング写真入手! 映画界最高峰タッグの軌跡を振り返る
「哀れなるものたち」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンがタッグを組んだ「憐れみの3章」のメイキング写真を映画.comが先行入手した。本記事では、ランティモス監督とストーンが歩んだ軌跡を振り返る。 【フォトギャラリー】「憐れみの3章」場面写真&ポスター 本作は、ランティモス監督のもと、「哀れなるものたち」で2度目のアカデミー賞主演女優賞に輝いたストーンをはじめ、同作に出演したウィレム・デフォー、マーガレット・クアリーが再集結。さらに、ジェシー・プレモンス、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーといった実力者が顔を揃えた。「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のエフティミス・フィリップが、ランティモス監督とともに共同脚本を手掛けている。 ランティモス監督とストーンのタッグは、ストーンが「女王陛下のお気に入り」(19)のオーディションに挑んだことから始まり、アート系作品では異例の世界興行収入を記録した「哀れなるものたち」(23)を経て、本作で3度目。ランティモス監督作品に込められたユーモアを愛し、ともに作品を作り上げてきたストーンは「私がヨルゴス自身とその映画に深く共感するのは、何ごとも単純明快ではないところ」と断言する。 ■「女王陛下のお気に入り」 2人が初タッグを組んだ「女王陛下のお気に入り」は、18世紀初頭のイングランドを舞台に、3人の女性の欲望と野望が渦巻く熾烈な争いを描いた宮廷ドラマ。第75回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝き、オリビア・コールマンが、気まぐれで病弱、それでも頑固に国を守る孤独な女王・アンを務め、第91回アカデミー賞で主演女優賞を獲得した。 ストーンは、上流階級への返り咲きを狙い、アン女王に気に入られようと画策する野心的な女性・アビゲイル役でランティモス作品に初出演。ランティモス監督は「彼女の演技には、ただただ驚かされました」と絶賛し、ストーン自身も「彼(ランティモス監督)の非常にユニークなアイデアには、あまり考えすぎることなく、従いたくなります。彼の下で働くのは、とても安心感があります」とコメントを残している。 3人の女性に焦点を当てたストーリーに魅了されたというランティモス監督は、豪華絢爛な装飾や、あえて現代的な革やデニムといった素材を用いて作られた衣装といった要素も交え、独自の世界観を確立。3人の女性が織りなす愛憎劇を時にユーモラスにたきつけていく。最新作「憐れみの3章」とは異なる時代劇でありながら、ランティモス監督の斬新で既知の常識にとらわれない世界観を一身に浴びることができる一作として、ランティモス監督×ストーンの最高タッグを世界中に知らしめた。 ■「哀れなるものたち」 2度目のタッグとなった「哀れなるものたち」は、自ら命を絶った不幸な若き女性ベラが、天才外科医の手によって“生まれたての女性”として蘇り、真の自由と平等とを見つけていく“冒険”物語。「憐れみの3章」にも出演するデフォーやクアリーらが新たに加わった。 本作では、前作「女王陛下のお気に入り」で成し得なかった第80回ベネチア国際映画祭最高賞の金獅子賞を獲得。第96回アカデミー賞ではストーンが2度目となる主演女優賞受賞の栄冠を手にしたほか、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、美術賞の合計4部門に輝き、ランティモス監督×エマ・ストーンの最高タッグを確立した。 ストーンが本作の物語を初めて知ったのは、「女王陛下のお気に入り」の撮影時。「ヨルゴスが説明してくれた内容はとてもユニークで、女性としてすぐにインスピレーションを受けました」と語り、初期の脚本を受け取った段階で作品に惚れ込んでいたそう。本作ではプロデューサーとしても名を連ね、企画の立ち上がりの段階から世界観を作り上げることに貢献した。 「世界を自分の目で見たい」という欲望に駆られたベラの旅は、ロンドンや、広大な海に浮かぶ豪華客船、パリといった様々な土地を舞台とし、想像を遥かに超えた、麗しく、かつあまりにも大胆な冒険物語へと発展していく。唯一無二の世界観を構成する美術も圧巻だ。美麗で独創的な世界の中で“社会における女性の自由“を描いた本作は、アート系作品としては異例の世界興行収入1億8400万ドルに到達する偉業を達成した。 ■「憐れみの3章」 3度目のタッグを組んだ最新作「憐れみの3章」で描かれるのは、愛と支配をめぐる3つの異なるストーリー。選択肢を取り上げられた中、自分の人生を取り戻そうと格闘する男。海難事故から帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官。奇跡的な能力を持つ特別な人物を懸命に探す女。独立した3つの物語で構成され、ストーンをはじめとする豪華キャストがそれぞれのストーリーで異なるキャラクターを演じている。本作は第77回カンヌ国際映画祭で、ランティモス監督作品に初出演したジェシー・プレモンスが男優賞を受賞。過去3度に渡って主要な賞を受賞(※)し続けてきたカンヌ国際映画祭での無敗伝説を更新した。 ランティモス監督は、3つのストーリーを、同じキャストで、異なるキャラクターで紡ぐという新たな手法に挑戦。ストーンは今作について、「脚本がとても気に入ったし、それが三部作に発展していくことも気に入ったの。物語が織り成すものは必ずしも明確ではないけれど、それまでの物語を生かした形で紡がれていく。期待に胸が高まりました」と語っている。 「憐れみの3章」は9月27日全国公開。 ※2009年カンヌデビューとなった「籠の中の乙女」で第62回カンヌ国際映画祭“ある視点”部門ある視点賞受賞、2015年「ロブスター」がコンペティション部門審査員賞を受賞、2017年「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」は、コンペティション部門脚本賞を受賞