木村拓哉、最新アルバムで首位獲得 『SEE YOU THERE』で放つ瑞々しさと洗練させる“木村拓哉らしさ”
堂本剛&Gakushiによるディープなファンク、AIとUTAによる壮大なバラードも
ほか、作詞作曲が堂本剛、編曲が堂本剛&Gakushiという.ENDRECHERI.でお馴染みのコンビによる「Crazy in love」もディープなファンクチューンで、3分未満のタイトな曲尺ながらこのうえなく濃厚な1曲に仕上がっている。アルバムのラストを飾る「Stay Safe」は作詞がAI、作編曲がAIとUTAのタッグによる壮大なバラード。グリッチ的なテクスチャーを忍ばせたイントロをはじめ、スケールの大きなメロディに豊かな陰影を与える作りこまれたサウンドのディティールも興味深い1曲だ。 サービス精神旺盛な賑やかなポップアルバムというよりは、どちらかといえば趣味的で渋い楽曲の揃った本作。にもかかわらず、単純に「成熟」や「大人」と片付けるのももったいない気もする。端的に言えば、それはボーカリストとしての木村が時折放つ瑞々しさのおかげだろう。SUPER BEAVERの柳沢亮太が提供したストレートなロックチューン「ここにいる」では、年齢を重ねた木村の堂々とした存在感の中に、力強くフレッシュなエネルギーが滲み出る瞬間があり、少し不思議な聴き心地になっている。また、オートチューンがきつくかかった「Head Shot」は、そうしたフレッシュさがオートチューンのぎらついた感触で強調されてもいる。 本作に限らず木村のソロ作を聴いていると、木村が音楽活動を通じて見せている姿は、「成長」や「成熟」のような広い言葉でくくるよりは、“木村拓哉が木村拓哉であること”を洗練させているのだと考えたほうがいいのかもしれない。
imdkm