「猛暑」で東京の家計支出が月3100円増加~冷菓や飲料、エアコンが大幅増
2024年の夏は、平均気温が過去最高を更新する見込みとなっている。平均気温の上昇は家計における消費支出に加えて、企業の売り上げ動向にも影響を及ぼす。猛暑による天候不順に台風、ゲリラ豪雨とも相まって、農作物の生育状況とともに、夏物商材の販売や屋外レジャーなどにも影響する。 そこで、帝国データバンクは、猛暑が東京の家計消費支出に与える影響について分析した。
東京の家計消費、猛暑により約390億円増加と試算、世帯当たりでは月約3122円の支出増
2024年夏の猛暑が家計消費支出に与える影響を試算した結果、平均最高気温が平年通りだった場合と比較すると、東京の家計消費支出は約390億6300万円増加する可能性があることが分かった。 支出項目別にみると、「食料」は、主食となる穀類や魚介類への支出が大きく減少した一方で、弁当など火を使わない調理食品は増加した。また、飲料は、炭酸飲料(約14億円増)や茶飲料(約11億円増)、発泡酒等(約9億円増)、ビール(約7億円増)などを含め、大幅に増加した。 さらに、アイスクリーム・シャーベットなどが大幅に増加した菓子類など、「食料」は約149億3700万円の増加となった。「家具・家事用品」はエアコンなどの冷房器具への支出が増加したほか、「保健医療」は熱中症対策など医療サービスを中心に支出が増加したと見込まれる。また、宿泊料を含む「教養娯楽」が約100億7900万円増加したとみられる。 なお、世帯当たりの消費支出額では、7月に2621円、8月に3623円の増加が見込まれ、平均すると猛暑により今夏は月平均3122円の支出増と試算される。
猛暑が今後企業にどのような影響をもたらすか、より長期的な視野で注視していく必要がある
食品など生活必需品の値上げはやや沈静化の兆しがみられるものの、エネルギー価格の高騰は続いていた。8月には政府による電気・ガス代への補助金が再開されたが、2年あまり続いた実質賃金の低迷は家計の購買力を奪い、節約志向を強める要因となった。 こうしたなか、2024年は大企業から中小企業への波及がみられた賃上げやボーナスの増加などもあり、個人消費の押し上げが期待される。気温は9月以降も高めで推移するとみられており(気象庁「東京都の季節予報 関東甲信地方1か月予報(08/24~09/23)」2024年8月22日14時30分発表)、猛暑による家計の購買行動の変化が今後、企業にどのような影響をもたらすか、より長期的な視野で注視していく必要があろう。