集団移住で無人50年 天草市牛深町沖の大島で、旧大島小・中学校卒業生がタイムカプセル開封
1974年の集団移住で無人島となった天草市牛深町沖の大島で、旧大島小・中学校の卒業生や元教師らが23日、50年ぶりにタイムカプセルを開封した。参加した約20人は、大島での暮らしや思い出を懐かしみ、昔話に花を咲かせた。 大島は、牛深港から南西約5キロに位置する周囲5・2キロの島で、55年ごろは80世帯400人が暮らしていたとされる。水や電力不足で過疎化が進行。31世帯100人まで減り、74年12月までに旧牛深市に集団移住し、学校も廃校となった。 今回の訪問は、移住から50年が経過したことがきっかけ。大島に上陸した元島民は、草木が茂る道を歩いて学校跡まで行き、近くの記念碑の下にしまっていたタイムカプセルを取り出した。校歌もみんなで歌い、市役所牛深支所でタイムカプセルを開封。将来の自分へのメッセージや絵、当時の新聞などが出てくると、懐かしそうに手に取っていた。 当時、小学5年生だった主婦の金子美保さん(61)は「大島に学校の門が残っていたのがすごい。記憶がよみがえりました」と笑顔。福岡市から参加した会社員矢田福吉さん(63)は「中学1年生の自分が描いた絵が出てきた。記憶がおぼろげで、不思議な感じ」と感激していた。(鬼束実里)