熱演に歓声やおひねり 全校生徒で歌舞伎公演 大鹿中学校【長野県大鹿村】
長野県大鹿村の大鹿中学校で9月29日、全校生徒23人による歌舞伎公演会が行われた。体育館ステージに設けられた舞台で一丸となって練習の成果を披露すると、来場した村民からは拍手や掛け声、おひねりが飛び交い、舞台と観衆が一体となって盛り上がった。 村に300年以上伝承される地芝居「大鹿歌舞伎」(国重要無形民俗文化財)を学ぶ総合学習の一環。同歌舞伎愛好会や保存会の協力を得ながら4月に演目と配役を決め、役割ごとグループに分かれて3年生を中心に半年間稽古に取り組んできた。 今年の演目は、平家の武将を救う源氏の武将の苦悩を描いた「源平咲別躑躅(つつじ) 扇屋の段」。大鹿歌舞伎では中学生しか演じていないという物語を堂々と披露し、見せ場で役者が見えを切る度に会場からは歓声が上がった。物語がクライマックスに近づくにつれ、舞台上は無数のおひねりで埋まった。 平氏の武将敦盛をかくまった扇屋の主人・上総次郎役の女子生徒(14)=3年=と、敦盛を見逃す源氏の武将・熊谷次郎役の男子生徒(同)の2人は、役者の中で最も台詞が多く、ともに「覚えるのが大変だった」と語った。 最終盤、敦盛と戦う見せ場があった男子生徒は「最後の見えを格好よく演じることができて気持ちよかった」と充実の表情を見せた。 敦盛を探す源氏の武将・阿根輪平次役を務めた女子生徒(13)=2年=は「悪役は初めて演じたけど、観客に悪役だということが伝わるよう頑張った」と振り返り、「来年は女性役をやってみたい」と話していた。