北アルプス常念岳で夏場に診察所運営 医学生が奮闘
長野県の信州大学医学部山岳部がこの夏も、北アルプスの常念岳(2857㍍)で「常念診療所」を開設している。山頂直下の鞍部にある常念小屋の一角にあり、"マウンテンドクター"らが、登山者に献身的な診療を続けている。 昭和61(1986)年から開設し、今年は7月末から8月18日ころまで開く。運営に当たるのは学生たちで、信大に限らず全国からボランティアの医師や看護師を募り、短期間の入れ替わりで山岳医療を担っている。今年は期間中、総勢で学生42人、医師30人、看護師35人、他の医療職6人が携わる予定だ。 8月初旬、診療所を訪れると7人のスタッフが駐在していた。市立大町総合病院の大渕信久医師(60)は、2年前に続いて2回目の参加で「登山が嫌な思い出にならないように患者さんの診療に当たっている」と話す。自衛隊入間病院(埼玉県)に勤める佐藤裕子看護師(47)は「冬は八甲田山でスキーパトロールをしており、山岳医療の経験はそれにも役立つ」と参加した。 常念岳の登山ルートは比較的、滑落の危険が少ないこともあり、多くは熱中症や疲労による体調不良、脚部の痛みによる受診という。今年の一日平均の受診者は1人に満たないが、50歳以上の中高年が多いそうだ。信大医学部4年生で学生リーダーの塚西奏一郎さん(23)は「設備や医薬品が限られる中で、ベテランの医療者がどう対応しているのか近くで見ることができ、とてもためになる」と話していた。
市民タイムス