<女子バレー>中田久美ジャパンは東京五輪でメダルを目指せるのか?
「決まらなくても、バックアタックがある、ということを見せるだけで、相手のブロックは遅れます。助走など、バックアタックに入る動きをすることも重要です。鍋谷選手はそういう仕事をさぼらずに懸命にしていましたが、韓国戦で存在感を示した野本選手や、石井選手ら、バックアタックを打てる選手はいるわけですから、打たせて経験を積ませることも必要だったのではないかなと思います」 今回はメンバーを替えながら国際試合経験の少なかった野本梨佳(26、久 光製薬)らが経験を積んだが、一方で、チームの平均年齢は約26歳と若くはなく、特にミドルブロッカーに33歳の荒木絵里香(トヨタ車体)に続く次世代のレギュラー候補が見当たらなかった。 「荒木選手に続くミドルブロッカーが育っていません。Vリーグを見ても厳しい状況です。人材不足です。機動力のあるミドルとしては、奥村さんに期待していますが、サイズが少し足りないのかもしれません」 そして、今回クローズアップされたのは、3年後の東京五輪に向けて「低くて速いバレー」と「4枚攻撃」を両立させることは可能なのかという問題である。 大山さんは、「低く速くでは、セッターが余裕をもってトスを上げにくく、相手のブロッカーからするとトスが視野に入ってくるので見やすいんです。そして早い攻撃にこだわると、攻撃枚数が限られます。ミドルが開けず、バックアタックが入れないケースが出てきます。それよりも、低く速くにこだわらずに“4枚攻撃”のコンセプト通りに、全員が攻撃参加できる余裕を持った方が良いのでは」という意見だ。 そして「使い分けができればベスト」と提唱する。 「ラリー中に低く速くを意識すれば効果があるケースもあるかもしれません。一方で海外勢と戦うにあたっても、低くて速くなくとも通用するという手応えもありました。今大会に出場した選手たちもハイセットをしっかりと打ち切っていました。トスが高いとブロッカーのアゴも上がって目線を切ることになるので嫌なものなんです」 故障で外れた古賀、長岡、そして次代のエースの期待が高い黒後愛(19、東レ)ら、高さと決定力のあるスパイカーが今後メンバーに加われば、バックアタックという選択肢も生まれ、単調に終わっていた攻撃陣に厚みが増してチームが劇的に変化するのではないか、という期待感もある。 「崩れない堅いディフェンスを見せ、中田監督が言うように40パーセントの土台はできたのだろうと思います。ここに古賀選手、長岡選手、黒後選手が入ってくると、バックアタック、攻撃枚数という課題をクリアできる可能性はあります。チームコンセプトについては、これで正しいのか?という答えはまだ出ていないのでしょうが、いいチームになるのではないかという期待が持てます」 来年度にはアジア大会と4大大会のひとつ、世界選手権が控えている。