<女子バレー>中田久美ジャパンは東京五輪でメダルを目指せるのか?
大山さんは中田ジャパンと真鍋ジャパンの決定的な違いとしてミドル攻撃が増えた点をピックアップした。 「前のチームとは違ってミドル攻撃が使えるようになりましたね。そこは大きく変わったところです。セッターの冨永選手、佐藤選手共にミドル攻撃を後半の勝負どころでも落ち着いて使えていました」 初代表で大会ベストリベロに選ばれた井上琴絵(27、JT)がジャンプしながらバックトスするシーンもあったが、「まるでブラジルの男子のリベロのプレーを見ているようだった」と大山さんは絶賛した。 また戦術的な細かい指示は、外国人コーチのフェルハト・アクバシュに任せ、コート上では、激しい喜怒哀楽を見せず、つとめて冷静に構えていた中田監督の指揮ぶりにも、大山さんは好感を抱いた。 「荒木選手も『監督の言葉がズシっときた』と言っていましたが、試合中に監督が、“ああだ、こうだ”と言いすぎても選手の耳には入ってこないものです。中田監督のように戦術の具体的なアドバイスは外国人コーチに任せ、自分は必要なときにだけ言葉をかけるというスタイルは、効果的だったように見えました。監督の感情の起伏が激しいと、選手は動揺するものです。どんな場面でも変わらず静かに見ているという中田監督の姿は、選手たちを落ち着かせたのではないでしょうか。代表監督とはどうあるべきかを、すごく考えられて立ち振る舞われているようにも感じました」 今回、古賀紗理那(21、NEC)、長岡望悠(26、久光製薬)のエース候補2人を故障を理由にメンバーから外したが、その目先にとらわれないコンディション優先の選考姿勢も評価すべき点だという。 しかし、5位という結果に結びつく課題も多く見られた。 「“低く速く”というバレーを選手は忠実にやろうとしていましたが、結果、レシーブに集中して速くボールを出すかわりに攻撃参加できないという事態を招きました。必然、攻撃参加枚数は少なくなります。スパイクが犠牲になっていました。例えば、1本目を内瀬戸選手が触り、速く出すと、バックアタックに間に合わないのです。セッターが前にいるフォーメーションではさらに顕著です。ブロックフォローも落ちずによく拾っていましたが、多少、ブロックフォローに遅れても攻撃に集中してもよかったのではないでしょうか。 加えてバックアタックという選択肢がほとんどなかったため攻撃が単調となり、相手もブロックを絞りやすい展開になっていました。攻撃が2枚しかないと楽なんです。しかも、1枚はワイドですからね」 4枚攻撃がチームコンセプトだったはずが、バックアタックはほとんどなく2枚攻撃になっていた。 「バックアタックの精度が低く使っても決まらない」というのが、チームとしてバックアタックを積極的に採用しなかった理由らしいが、大山さんは、疑問を呈す。