「混合診療」の拡大方針って、どういうこと?
医者、患者の双方に賛否両論
混合診療の規制緩和については、医療者、患者どちらの側にも賛否両論があります。 日本医師会は、医療は社会の共通資本であるという考えから、所得によって選べる医療に格差ができることや、保険診療の範囲を縮小させる恐れがあることなどを理由に、早くから混合診療への反対を表明してきました。一方、現場の医師の中には、現行制度のもとでは保険診療と保険外診療をわざわざ別の日に実施しなければならず、治療の分断を招いているとして解禁を望む人もいます。 患者側では、新薬や新技術をいったん先進医療に指定してしまえば混合診療で治療が受けられることからかえって新しい医療の保険適用が遅くなるのではないかという意見があります。けれども、治療の選択の幅が広がることを歓迎する患者も多く、考え方はまちまちです。 また、医療政策の面からみた場合、健康保険制度の財源が逼迫していることから混合診療の範囲拡大で保険財政の安定を期待する声と、公的保険制度の主旨に沿って本来は保険適用の範囲を拡大するべきという声とがあります。