米の王様『コシヒカリ』が温暖化でピンチ 暑さに強い品種の開発競争が激化 滋賀産「みずかがみ」など健闘 コシヒカリを越えるか
一方で、売り場に増えているのは「高温耐性品種」と呼ばれる、暑さに強い品種。コシヒカリに追いつけ、追い越せと、全国各地で開発競争が起きています。 関西でいち早く、その道を切り開いたのが滋賀県の「みずかがみ」です。 琵琶湖の東部に位置する、東近江市平田町。
【エコふぁーむ平田 増田伊知郎代表理事】「これは滋賀県推奨の『みずかがみ』。高温対策の品種なので結構、暑さに強い」 滋賀県は、高温耐性品種を独自に開発。2013年に滋賀県のブランド米「みずかがみ」を発売しました。 みずかがみは、今年発表された「食味ランキング(2023年産)」で、最高評価の「特A」を獲得しています。
Q.去年、特Aを取ったのはどう思いました? 【エコふぁーむ平田 増田伊知郎代表理事】「個人的には当然だと思っているんですけども。ランクを下げるとショックで…。高温対策用に品種改良された米が最終的には取れ高がいいのかな。歴然と感じますよ」 「エコふぁーむ平田」は今年、他の品種を減らし、暑さに強い「みずかがみ」の作付面積を、去年に比べて1.4倍に増やしました。 それでも、コシヒカリは今年も作り続けています。 【エコふぁーむ平田 増田伊知郎代表理事】「昔からコシヒカリファンはいるんです。だからだからコシヒカリを作って、みずかがみも作って、という状況。みずかがみだけ作ったら、販売するのに『え?なんで今年コシヒカリ作らなかったの?』と言う方もいらっしゃるので」
■ファンの多い「コシヒカリ」を超える品種は?
日本人に根強い「コシヒカリ」神話。簡単には崩れそうにありませんが、米作りの未来は…? 【滋賀県 農業技術振興センター 吉田貴宏専門員】「ここでは開発中の稲を育てています。暑さに強い稲を作るために、実際に温室の中に植えて、この暑い条件の中でも品質を保てるものを選ぶためのテストをやっております」 ハウスの中は、暑い時期になると、外気よりも1度から2度高くなります。 滋賀県の高温耐性品種「みずかがみ」も、このハウスから生まれました。 【滋賀県 農業技術振興センター 吉田貴宏専門員】「実際に品種にするためには、暑さに強いだけではだめ。おいしいことも当然必要ですし、病気に強い、たくさん採れる収量性。全て兼ね備える必要性がありますので、それを探し出すのに、非常に苦労しています。大体10年に1個、品種を出せたらいいかなという状況です」 毎年、品種改良をした5万種類の稲を植え続けていて、「これだ!」と思える1本を探しています。 【滋賀県 農業技術振興センター 吉田貴宏専門員】「コシヒカリが品種になって60年ほど。いまだ正直、コシヒカリを超えるブランドになったものがない。品種を開発する者としては、いつかはコシヒカリを超える。コシヒカリを作るのではなく、『この品種でいいんだ』というのを作りたいのは、夢としてはある」 日本の食を支え続ける米作り。今後、コシヒカリを超える存在は現れるのでしょうか。 (関西テレビ「newsランナー」 2024年5月27日放送)
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