保育士の給与10%増 経済対策を閣議決定
政府は11月22日、物価高対策を柱とした総合経済対策を閣議決定した。今年度の保育士と幼稚園教諭の給与を前年度比で10・7%引き上げる処遇改善策を盛り込んだ。人事院勧告に準拠して基本単価を上げる。三原じゅん子こども政策担当大臣が同日の会見で明かし、「現状から大きく脱却して飛躍的に前進させる」と話した。 引き上げ率は過去10年間で最大となる。2023年度と比べ、常勤の保育士1人当たりの月額で約3万8000円アップできる額を補正予算に盛り込む。補正予算が成立すれば、4月にさかのぼって適用する。 ただし、国が定めた基準よりも多くの保育士が働いている園の場合、1人当たりの処遇改善率がこれを下回る可能性もある。 人手不足の深刻な介護分野でも職員の賃上げを図る。福岡資麿厚生労働大臣が20日の報道各社のインタビューで明らかにした。また、先端技術の導入を促す実証も行う。 障害福祉分野では小規模事業所の人手確保について、他事業者との協働化を支援する。ICT(情報通信技術)機器やロボットの導入も促す。 経済対策に必要な政府の財政支出は約22兆円。そのうち、24年度補正予算案の一般会計の歳出は約13兆9000億円で、政府は12月21日までの臨時国会で成立を目指す。 物価高対策では、住民税非課税世帯に3万円を目安に給付し、子育て世代には1人当たり2万円を加算する。電気・ガス料金の補助は来年1月に再開し、3月まで続ける。年内が期限だったガソリン補助金も補助額を縮小しながら当面続ける。 自民、公明、国民民主の3党合意を受け、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の引き上げも明記した。