「課長、新入社員と不倫してるらしいよ」32歳主任が職場を崩壊寸前に追い込む「ひどいデマ」を流したワケ
「あいつ、真面目な顔して課長に取り入ったんだって」「その課長も、新入社員と不倫してるらしいよ」 【マンガ】38歳会社員が絶句…2500万の「軽井沢の別荘」を買ったら思わぬ出費 昇進人事への不満から始まったある社員の陰口が、やがて複数の社員の評判を傷つけ、とんでもない事態に発展する……。あなたの会社にもいるかもしれない「不満拡散型社員」の危険性を、事例をもとに社会保険労務士の木村政美氏が解説する。
昇進したあいつよりも、自分のほうが優秀なのに…
A塚さん(35歳・既婚者男性)は大学卒業後、都内に本社がある設備メンテナンス会社・甲社に就職し、総務課に配属後2年前総務課長に昇進し、主任2名とメンバー18名の部下を束ねながら業務に邁進していた。 今年5月、A塚さんは甲社長から呼ばれた。 「7月からオープンする埼玉営業所の件で、A塚君に頼みがあるんだ」 「何でしょう」 「当面の間、埼玉営業所の総務部門の責任者になってもらえないか」 「じゃあ転勤するということですか?」 「いや。本社の総務課長と兼任してほしい。総務課内で総括して仕事ができるのは君の他にいないからね」 「わかりました。しかし兼任となると本社と営業所を行き来することになります。自分が不在の時代わりに課長業務を担ってくれる人が必要かと……」 「じゃあ新たに『総務課長代理』のポストを設けよう。誰にするかは総務主任の中から決めればいい。人選は君に任せるよ」 甲社長から課長代理の適任者を選ぶよう求められたA塚さんは、考えた末、常に真摯な姿勢で仕事に取り組み、口数は少ないがメンバーからの信頼が厚いB山さん(32歳・総務主任)を推挙することにし、本人のOKを得た。その後管理職会議での承認を得て、7月からB山さんが課長代理に就くことになった。A塚さんは「これで埼玉営業所の業務に集中できるぞ」と安心した。 メンバーたちがこの決定に歓迎する中、C川さん(32歳で総務主任・B山さんとは同期入社)だけは、 「真面目だけが取り柄のあいつより自分のほうが優秀なのに、課長代理だって?ふざけるな!」 と怒りでメラメラと燃えていた。 C川さんは明るく社交的な性格で、社内でも知り合いが多い。課内では主に新卒採用のための学校訪問や会社説明会の企画と当日の進行役、新入社員研修運営や講師などの業務を担当し、対外的な顔としての活躍ぶりはA塚さんや他のメンバーも認めていた。しかし、パソコンでのデータ作成などの事務作業が苦手で、再三ミスを注意しても改善されないことが引っかかった。部下のミスをチェックする立場にある課長代理がミスばかりしては困るので、B山さんを課長代理に据えたのだ。 B山さんが課長代理の業務をそつなく務めているところを見るにつけ、C川さんの不満は鬱積した。