奥能登豪雨も温暖化の影響か? 2024年の気象災害、温暖化がない世界ではどの程度だったか
■より強烈な台風が生まれやすくなる?
さらに、高い海水温が生み出す、暖かく湿った空気は、台風の勢力をより激しくするという。 ことし8月に、九州南部を襲った台風10号。数十年に1度という危険なレベルの強さで台風の接近が予想される際に出される「台風特別警報」も発表された。 イギリスの「インペリアル・カレッジ・ロンドン」の研究チームのシミュレーションによると、温暖化など気候変動の影響がないと仮定したケースでは、台風10号のような現象がおこる確率は10年間でおよそ4.5回だった。これが、気候変動によっておよそ5.7回に増え、2割以上高まった可能性があるとしている。 また、台風の最大風速も、7.5パーセント強くなった可能性があるとした。
■“温暖化”か“自然要因”か
一方で、人為的な温暖化と、一時的な自然要因を分けるのは難しい。 異常気象分析検討会で会長を務める、東京大学の中村尚教授によると、日本の南岸を流れる暖かい海流=黒潮からの流れが、顕著に北へ蛇行したことも、今年の海面水温が高かった要因だという。これは、温暖化が顕在化する前から、気温や水温を変動させてきた要因でもある。 一方、温暖化の影響がある程度含まれていることも間違いなく、2つの要因が重なることで、昨今の異常気象が起きているとする。 中村教授は「影響は短期間で収まるものではなく、2025年以降もしばらくは平年よりも気温や水温が高くなる確率が高い。そうなれば、今年と同様な状況となる可能性が少なくない」と話す。
■2025年も災害に注意
「1.5度」の限界が近づく世界。 2025年も気象災害は避けて通れないかもしれない。ハザードマップの確認など、いかに日頃から"命を守る準備”をしているかが重要だ。