広島・新井監督 史上初の屈辱 首位で9月突入からBクラス終戦「全部終わってから振り返りたい」 66年ぶり敵地12連敗
「ヤクルト5-3広島」(2日、神宮球場) 歴史的大失速の果ては史上初の屈辱だった。広島が4連敗で新井政権2年目にして初のBクラスが確定した。球団ワーストタイの敵地12連敗で今季のシーズン負け越しも決定。新井貴浩監督(47)は「全部終わってから振り返りたい」と語り、残り2戦を全力で戦う姿勢を強調するも、9月を首位で迎えたチームがAクラス入りを逃すのはプロ野球史上初となった。 まさかこんなことになるとは9月頭の時点で誰が予想できただろうか。坂道を転がり落ち続けるチームはついにここまで来てしまった。9月を首位&貯金14で迎えながらも、歴史的な大失速で2試合を残してBクラスが確定。監督として自身初めてAクラス入りを逃した新井監督は意気消沈する鯉党の視線を浴びながら、言葉を紡いだ。 「あと2試合あるので。全部終わってから振り返りたいと思います。今日もたくさん応援しに来ていただいているので、あと残り2試合、いい試合をお見せできるように頑張りたいと思います」 なすすべはなかった。この日も先発・床田が2回6安打5失点でKO。反発力に欠ける打線は七回から反撃に転じ、3点を返すも時すでに遅し…。指揮官は「みんな粘り強くやってくれたと思うけど、やっぱり先発投手から点を取らないといけないなと思う」と一年を通じて解消されなかった課題に目を向けた。 新井政権2年目の今季は開幕ダッシュには失敗したものの、徐々に投打がかみ合い、5月末には首位を奪取。少ない得点を強力な投手陣と鉄壁の守備で守り抜く野球でロースコアの接戦を立て続けにもぎ取っていった。指揮官は15勝9敗1分けで好調だった8月に「勝負はまだ先」と繰り返し強調し、先発や中継ぎ陣にもゆとりを持った起用をしてきた。 しかし、待っていたのはまさかであり、深すぎる落とし穴。9月はセ・リーグワーストタイ記録となる月間20敗を喫した。8月終了時でチーム防御率2・25だった投手陣は、そろって踏ん張りきれない状態となり、9、10月の同防御率は4・30。頼みの綱は切れ、春先から低調だった攻撃陣も盛り返してくることはなかった。 これで今季ワーストタイの借金4となり、シーズン負け越しも確定。8月29日・中日戦(バンテ)からの敵地12連敗は1958年以来66年ぶりの球団ワーストタイ記録となってしまった。 選手会長の堂林は「悔しい。優勝争いから9月の大失速っていうのは責任を感じています」と無念をにじませ、秋山は「野手はピッチャーを助けられた試合も少なかった。来年も打てないと、こういう苦しい展開になることはよく分かった。やることはいっぱいある」と危機感をにじませる。混戦の怖さを思い知らされた今季。一度は6年ぶりのリーグ制覇を夢見ただけにショックは大きい。 ◆史上初の屈辱…8月終了時首位球団のBクラス これまで8月終了時点で首位だった球団で最も順位を落とした最終順位は3位。最近のセ・リーグでは2021年の巨人で9月が6勝14敗5分け、10月が4勝11敗3分けと苦しみ、首位から最終3位となった。また、2桁貯金からシーズン借金フィニッシュは、広島では5度目。過去4シーズンは【1】68年(貯金13→借金3、最終3位)【2】76年(貯金11→借金4、最終3位)【3】82年(貯金13→借金4、最終4位)【4】98年(貯金12→借金17、最終5位)。