ミャンマー国軍トップに逮捕状、ロヒンギャ迫害疑いでICC請求
【ベルリン=工藤彩香、バンコク=佐藤友紀】国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の検察局は27日、ミャンマーのイスラム系住民ロヒンギャの迫害を巡り、ミャンマー国軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官に対し、人道に対する罪の疑いで逮捕状を請求した。 【地図】ロヒンギャが主に居住しているラカイン州
ICCの声明によると、2017年に国軍が行った疑いがあるロヒンギャへの迫害や国外追放で、同氏が「刑事責任を問われるべき十分な根拠がある」と判断した。カリム・カーン主任検察官は「100万人超のロヒンギャがミャンマーでの暴力から逃れることを余儀なくされている」と指摘し、捜査を続けるとした。
ロヒンギャはミャンマー西部ラカイン州を中心に居住し、多くは英国植民地時代に現在のバングラデシュから移住したとされる。不法移民とみなされて差別され、17年にロヒンギャ系武装勢力が警察署を襲撃して以降、国軍が掃討作戦に乗り出した。国軍がロヒンギャを強制的に連行し、昨年始まった少数民族武装勢力との戦闘に参加させているとの証言もある。
欧州拠点のロヒンギャ支援団体「自由ロヒンギャ連合」の創設者ネイ・サン・ルイン氏は本紙に対し、逮捕状請求を歓迎し、「全てのミャンマー人に利益をもたらす」と述べた。国軍の報道担当者は本紙などの取材に「ミャンマーはICCに加盟しておらず、ICCの公式発表を認めたことはない」とし、決定を受け入れない姿勢を示した。