富山県立山町の人気農家承継 魚津の西田さん、トマトとイチゴの品質追求
富山県魚津市の農業、西田雅志さん(48)が、立山町のトマト農家の事業を引き継いだ。数少ない種子繁殖型品種のイチゴの生産にも挑戦。これまで磨いた栽培技術や経験を生かし、味と品質を追求する。「町の活性化にも一役買いたい」と意気込む。 西田さんは、実家が兼業農家。だが、農業への興味はなく、43歳まで県内の大手メーカーやアパレル、とび職など多くの職業を経験した。 農業に進んだのは、子どもが生まれ、食への関心が高まったことがきっかけ。入善町の農業法人などでトマトとイチゴの栽培に取り組んだ。「こんな面白いことを何で今までやってこなかったんだと思った」と笑う。 これまで多くの職業を経験したことは、農業に役立っているという。データ管理は栽培、接客は直売での対応、建築技術はビニールハウスの補修といった具合で、自身のキャリアを生かしている。 農業を始めて約5年。独立に向けて準備を進めていたところ、立山町で人気のトマト農家が高齢を理由に廃業することを知った。昨年5月から約2カ月、作業を手伝うようになり、昨夏に事業を承継。生産設備の取得などの資金を日本政策金融公庫に融資してもらい、「ファームロネ」の名称で展開している。
同町金剛寺にビニールハウスが2棟あり、計10アールで栽培。トマトは「華小町」、イチゴは収量が少ないものの食味や見た目が優れる「よつぼし」を育てる。いずれも1品種に絞っているのは、管理や味への強いこだわりが理由だ。 人気のトマト農家を引き継いだだけに重圧もあったが、ハウス隣接の直売所には常連客が以前と同じように訪れる。富山市の「地場もん屋」でも販売され、今後は立山町の「味覚の郷」や同市の「まんなか市場」にも出荷予定という。 「『おいしかった』の言葉が励み。直接届けたい」と西田さん。直売をメインに今後も事業を拡大していく考えだ。 直売所は午前9時半~正午に営業。グーグルマップで「ファームロネ」と検索する。イチゴは5月中旬ごろまで収穫し、トマトは6月中旬ごろから販売予定。