【インタビュー】真田広之、ドラマ『SHOGUN 将軍』に「本物の日本」が宿る意義
動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」の「スター」で27日から独占配信が始まったディズニーが持つ製作会社の一つ「FX」によって制作されたドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』(全10話)。「誤解された日本を描く時代を自分の世代で終わらせたかった」とハリウッドへ移住し、自らの手で活躍の場を開拓してきた俳優・真田広之が、約20年かけてたどり着いた一つの到達点であり、未来への第一歩でもあるこん身の一作だ。 【動画】『SHOGUN 将軍』|本予告 原作は、映画『大脱走』や『いつも心に太陽を』の脚本などでも知られるジェームズ・クラベルが1975年に発表した小説『将軍』。日本の戦国時代を舞台に、徳川家康ら歴史上の人物からインスパイアされた登場人物たちによる覇権争いに、海を渡って日本にやってきた英国人、アジア圏の貿易を独占していたポルトガルの宣教師や商人らも絡んで、関ヶ原の戦いに突入していくさまを描く。1980年には米国でドラマ化され、三船敏郎などが出演。絶大な人気を博し、欧州や日本では再編集版が劇場公開されて大きな反響を集めた。 約40年を経ての再映像化となる本作への期待は非常に高く、米大手レビューサイト「Rotten Tomatoes」では「100%」の高評価、「2月に観たいテレビ/ストリーミング番組リスト」のトップに挙げられた。真田が主演兼プロデューサーとして本格的に制作にも加わっていることも、期待と安心感につながっている。 「戦国時代の日本を初めてに近い形で紹介したのが原作小説だったと思うんです。80年代のドラマも日本の文化に興味を持つ人が増えるきっかけの一つになった。それから時代が進んで、街なかのスーパーマーケットでも寿司が販売されるようになって、ネットで少し調べれば日本の情報に触れられる。なので今回は、物語を信じて、集中して観てもらうために、すべてをオーセンティックに作り込む必要があると思いました。カルチャーギャップを面白がるのでもなく、ステレオタイプな侍を描くのでもない、普遍的なドラマを目指しました」。 ■いち俳優としてできることに限界を感じていた 真田と本作の旅が始まったのは、本作がまだ企画段階だった2016年頃。「最初、俳優として主人公・吉井虎永役のオファーをいただきました。引き受けるにあたって、日本人の役は日本人がやり、日本から時代劇専門のスタッフを呼ぶことを求め、それを言い続けていたら、ジャスティン(エグゼクティブプロデューサー/ショーランナーのジャスティン・マークス)やレイチェル(エグゼクティブプロデューサーのレイチェル・コンドウ)から、プロデューサーとして力を貸してくれないかという話になったんです」。 映画『ラスト サムライ』出演をきっかけに、「誤解された日本を描く時代を自分の世代で終わらせたかった」とハリウッドへ移住し、「日本を正しく描きたい」と孤軍奮闘してきた真田にとって、プロデューサー兼務の要請は願ってもないことだった。「いち俳優としてできることはこれまでもやってきたが、限界がありました」。 本作では、プロデューサーとして堂々と辣腕(らつわん)をふるっていく。「まず脚本作り。歴史的、文化的に適切であるように歴史考証を徹底し、僕がキャラクターに合わせて直すこともありました。英語から日本語、日本語から英語への翻訳にも目を光らせ、何度もキャッチボールをしながら作っていきました。ユニバーサルな人間ドラマにするために、西洋風にも現代風にもならないよう意識しました」。 スタッフ集めでも。「40年ちかく共に時代劇を作ってきた仲間たち、結髪や衣装、セットデザインの職人に声をかけて、参加していただきました。所作や殺陣の指導は、統括1人と侍専門、女性専門の3人体制を整えました。キャスティングについて意見を聞かれたら、自分の意見と理由を述べることもありました」。