【インタビュー】真田広之、ドラマ『SHOGUN 将軍』に「本物の日本」が宿る意義
■初めてのプロデューサー業に全力「今までにない幸せを感じました」
撮影は、カナダのバンクーバーで9ヶ月にわたって行われた。現地のスタッフと日本の専門家やアドバイザーたちが、日本を舞台とした物語を忠実に映像化すべく力を合わせた現場で、「橋渡し役」として縦横無尽に活躍していたのが真田だった。 都内で行われた配信記念試写会では、登壇したキャストからプロデューサー・真田への称賛が相次いだ。英国人航海士ジョン・ブラックソーン(按針)役のコズモ・ジャーヴィスは「聞きたいことがある時、常にそこにいてくれた」。虎永と敵対する石堂役の平岳大は「ご自身の出演がない日でも毎日、最初から最後まで現場にいて、エキストラの衣装や髪形を直すことまでしていた」と証言。厳寒の夜の撮影で、馬上の平が家来と話すシーンでは、「離れた温かい場所にいる監督からの僕へのダメ出しを、真田さんが行き来して伝えてくれて、芝居どころじゃなくなるくらいお世話になりました」と、笑いながら明かしていた。 真田は「初めて海外での撮影に参加する人も多く、勇気を持って飛び込んできてくれたので、ときに通訳をしたりしながら、彼らの最大限の良いパフォーマンスを引き出すのが自分の仕事だと思っていました。稽古(けいこ)、リハーサル、本番と、できる限りのことをし、モニターを毎カットチェックして、いいパフォーマンスができてその場にいた全員が『いいね!』と一致した時の喜びたるや、今までにない幸せを感じました」。 前述の配信記念試写会で「長い旅路の果てにようやく日本の観客の皆さまにお披露目できる日が来たことをうれしく思います。ここにいる、そしてここにいない多くのスタッフやキャストの情熱の結晶を見ていただける日がきてうれしいです」とあいさつした真田。インタビューでも、「日本人の役は日本人がやり、日本から時代劇専門のスタッフを呼ぶ。今までなかなかできなかったことが、今回は実現できた。プロデューサーという役割をいただけたからできたことでもあり、僕にとって初めての経験になりましたが、いやぁ、楽しかったですね。何より、ジャスティンやFXスタジオが日本の俳優や職人たちを信じて、認めてくれたというのは大きな一歩だと思います」と笑顔をのぞかせた。 真田の目は、日本だけでなく、世界にも向けられている。「家康は、戦乱を終わらせ、260年にわたる平和な時代の土台を築いたヒーロー。悲しいことに、この作品の撮影中に新たな戦争が起こり、ポストプロダクションの間にまた違う戦争が起き、ますます家康のようなヒーローが必要な時代になってしまった」と吉井虎永のモチーフになった徳川家康に思いを馳せる。 「虎永と按針のストーリーと、このドラマが作られた過程、メイキング・オブ・『SHOGUN 将軍』がオーバーラップします。洋の東西の壁を乗り越え、文化、宗教、目の色の違うスタッフ・キャストが集まって一つのことを成し遂げる。人々が互いを認め合って、尊重し合っていけば、奇跡は起こるんじゃないか。それが、世界配信されるこのドラマの大きなメッセージになった気がします。より良い未来のために何か感じ取ってもらえたら」と、言葉に熱が乗っていた。 ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』は2月27日より動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」の「スター」にて独占配信中。初回は2話配信、その後毎週火曜に1話ずつ配信。最終話は4月23日。 ヘアメイク:高村義彦(SOLO.FULLAHEAD.INC)