熊よけの鈴「貸します」 三重県 熊野古道沿い観光施設などで2000個
注意呼び掛けるパトロールも「警戒を怠らないで」
秋の行楽シーズンを前に、熊野古道を歩く観光客らに熊よけの鈴を身に着けて安全に楽しんでもらおうと、三重県はきょう1日から、県内の観光施設や語り部の会を通じて、約2千個の鈴を貸し出すサービスを始めた。 県内の熊の目撃、出没情報は今年に入って90件以上と、記録が残る2006(平成18)年度以降、過去最多だった昨年度の40件を大きく上回っている。8月には大阪府の高齢女性が度会郡大紀町の熊野古道伊勢路・ツヅラト峠で熊に頭や肩などを引っかかれ、足の骨を折る大けがをした。女性は鈴は持っていなかったが、山の中ではつえで音を立てながら歩いていたが、集落に近づいたところで音を鳴らすのを止めて、歩いていた時に遭遇したという。 県はハイペースで熊の情報が寄せられていることから、今年から初めて注意喚起を呼び掛ける「クマアラート」を導入。1日時点で警報が大紀町と紀北町に、注意報が松阪市や多気郡など、熊野古道を有する南勢地域を中心に発令されている。 県はこれから行楽シーズンを迎え、熊野古道を歩く観光客も増えることから、安全に楽しんでほしいと、県内の熊野古道沿いの11観光施設に1800個、各町の地元の語り部の会に200個を配布し、希望する人に貸し出す。 多気郡大台町佐原の町観光協会奥伊勢テラスでは80個の鈴が用意され、1日から運用が始まった。熊よけの鈴と被害防止啓発カード、専用の袋がセットになったもので返却は他の熊野古道沿いの観光施設でも可能。 また、県では多気町から南牟婁郡御浜町までの17峠の登山口を回って注意を呼び掛けるパトロールも実施する予定。 県の担当者は「熊は人里に近い所にも出没している。熊野古道を歩く時には、山の中はもちろん、最後まで警戒を怠らないようにしてほしい」と呼び掛けている。 松阪地区の貸出場所は次の通り。 ▶多気町=ごかつら池ふるさと村(五桂) ▶大台町=町観光協会(佐原)、町役場日進出張所(新田)