地震で工房倒壊も輪島塗復活へ 塗師屋の挑戦は東京で
イベントの前夜、東京ドームそばのホールでブースを作ります。 展示会は重労働と話す田谷さん。準備は夜遅くまで続きました。 3月8日から13日まで6日間の日程で開かれた「ご当地よいどれ市」 全国各地から自慢の酒やグルメが集まりました。 日本全国からおよそ70店舗が出ているよいどれ市ですが、石川県からは3つが出店しています。日本酒を取り扱うお店や能登かきを販売するお店、そして田谷漆器店のブースではバリエーション豊かな輪島塗が並んでいます。 輪島から運ばれてきた日本酒や食べ物も並び、さらに沈金職人の実演コーナーも設けられました。 輪島塗のぐい呑みで、能登の地酒を飲んでもらうサービスを提供した田谷さん。 ここに、ある作戦が隠されていました。 田谷昂大さん 「輪島塗のぐい呑みなので高価。みなさんに「どうぞ持っていって飲んでてください」という風に言えなくて、目の前で飲んでもらうと少し繁盛しているお店に見えるので、それも工夫のひとつ」 ぐい呑みでの日本酒を頼んだお客さんは、しばらくとどまります。そして、輪島塗のお椀で味噌汁をじっくり味わうお客さんも。 輪島塗も売れていきます。 買い物客 「旅行に行ったときたまたま(田谷漆器の)工房に行って。できる限り、訪れるしかできないですけど」 「地震があった直後にふるさと納税とかで応援できないかと言ってたが、すぐ売り切れて全然買えなかった。箸ほしいなと思って来ました」 田谷昂大さん 「初めて知る方、「輪島塗こんな高いの?」と言われる。そこも含めて知ってもらえれば。値段の後ろにある製造工程や使っているものも。値段が高いのを入り口に知ってもらえれば」 復興課長の森岡さんも、初体験の展示会での接客に奮闘していました。 森岡龍太さん 「東京という熱気のあるところで、能登に触れていただく機会を作れた」 田谷昂大さん 「参加してよかったです。能登にも注目してもらえるし、使ってもらえる。非常にこのイベントの魅力だと思う」 日本各地をめぐる商売を再開させるスタートとなった東京での出店。 輪島の伝統産業の復興という未来を描きながら、塗師屋は歩みを進めます。
北陸放送