アンジェラ・アキ 「無期限の活動休止」から10年。夢だったミュージカル音楽家として日本での活動を再開
アルバム「アンジェラ・アキsings『この世界の片隅に』」に収録された「この世界のあちこちに」は、主人公のすずをはじめ、自分の居場所を探し続ける登場人物たちの心情に寄り添って書かれた曲だという。あくまでの作品のために制作された楽曲だが、〈どんな場所もどんな人も居場所があるんだ〉という一節は、彼女自身の軌跡とも重なって聴こえる。 「40代になっても居場所を探している自分がいますからね。たぶん、それはずっと続くんじゃないかな。有名な音楽番組に出る、ランキングで上位に入ることで自分を証明しようとしてたところがあったけど、それよりも人とのつながり、会話のなかに生まれる温かさ、そのなかで自分がどういうふうに成長できるかが大切。そのなかで作品を作っていきたいなと今は思っています」 (取材・文/森朋之) アンジェラ・アキ/シンガー・ソングライター、ミュージカル⾳楽作家。⽇本⼈の⽗親とイタリア系アメリカ⼈の⺟親との間に⽣まれる。2005年にシングル「HOME」でメジャー・デビュー。2008年には、「NHK全国学校⾳楽コンクール中学⽣の部」の課題曲に書き下ろされたシングル「⼿紙 ~拝啓 ⼗五の君へ~」がプラチナディスクを獲得。世代を超えた⼤ヒットロングセラーとなる。2014年、8⽉に⾏われた⽇本武道館での公演をもって、シンガー・ソングライターとしての、⽇本での無期限活動停⽌に⼊った後、渡⽶。以前からの⽬標であったミュージカル作品の制作の為に⾳楽を⼀から学び直す。2017年、ウォルト・ディズニーの短編ミュージカル作品「アウト・オブ・シャドウランド」制作に作詞家として参加。東京ディズニー・シーのハンガーステージで公開され、ミュージカル⾳楽作家としての⼀歩を踏み出す。その後、ブロードウェイ作品のプロジェクトにも関わり始める。2023年には、2024年5⽉から⽇本全国で上演されるミュージカル作品、『この世界の⽚隅に』の⾳楽を担当。同時に、⽇本での活動再開を発表。2024年2⽉7⽇デジタルシングル「この世界のあちこちに」をリリース。4⽉24⽇には約12年ぶりとなるアルバム「アンジェラ・アキsings 『この世界の⽚隅に』」をリリースする。
森朋之