【特集|中越地震から20年】経験を”能登”へ:教訓を若い世代へつなぐ、輪島と長岡の挑戦【新潟】
中越地震から20年、当時の経験を生かして能登半島地震の被災地で活動する人たちがいます。中越地震でも見られた震災による過疎の加速。若い世代を巻き込んで支援の輪を広げています。 【動画】【特集|中越地震から20年】経験を”能登”へ:教訓を若い世代へつなぐ、輪島と長岡の挑戦【新潟】 10月1日の石川県・輪島市。能登半島地震から9カ月が経っても、爪痕は残されたままです。そこに、記録的な豪雨が追い打ちをかけました。 長岡市の被災地支援団体『チーム中越』の代表を務める佐竹直子さん。能登半島地震のあと輪島市などに入り、要望を聞きながら支援を続けています。 ■チーム中越 佐竹直子代表 「とにかく運んでくれる人だったり、話を聞いてそのニーズを拾う人だったり、本当にボランティアが少ないという実感はありますので、継続的に寄り添いながら支援し続けたい。」 佐竹さんは20年前、長岡市で中越地震を経験しました。仲間と被災地支援をする中で、大切にしたのは過疎が進む集落との交流です。 ■チーム中越 佐竹直子代表 「若手が山から降りていく中で、過疎高齢の中で地震もあって復興は難しいのではと思ったが、心の復興というものに気づいて。物の支援だけでもない、インフラ整備だけでもない、人と人が交流することで元気になっていくモデルにはなったのかなと思う。」 中越地震の教訓を、次の被災地に伝えようと『チーム中越』は2008年に設立されました。佐竹さんは、能登半島地震の被災地を10回以上訪問しています。輪島市では、8000棟以上の建物が解体されずに残されたままで(10月末時点)、復興への道筋はいまだ見えていません。支援を続ける中で、少しずつつながりができています。 ■西浦貴子さん 「今回の水害でさすがにみんな心が折れた。色々な人が入ってきてくれてその時はみんな笑顔だけど、ふと我に返って涙する人が多い。」 ■チーム中越 佐竹直子代表 「ごめん、私も想像するとね、涙が出てくる。」 ■西浦貴子さん 「震度7の地震を受けて初めてこんなに大変なんだと実感した。中越の人たちもその大変さを実感してるから、こうやって支援に来てくれるというのがわかった。」 ■チーム中越 佐竹直子代表 「それは中越地震の時に私たちもすごく実感したから。本当に周りの人たちにどれだけ助けられて、勇気をもらったか。」 20年前の教訓を、今につないでいます。 ■チーム中越 佐竹直子代表 「中越の時もほんとに色々な人と縁があって、繋がってきたおかげで豊かになれたというのがある。輪島の人たちとも縁があって繋がって、そのつながる力でみんなで支え合える社会ができれば、きっと復興に繋がる。」 ◆つながりは、若い世代にも 長岡市を訪れたのは、輪島市に住む中学3年生、古畑紫さんです。 ■古畑紫さん 「すごいびっくりした。いっぱい人いるなと思って。輪島とは大違い。」 古畑さんは輪島市で、中学生や高校生と古着の販売店を運営しています。能登半島地震のあと、今年8月に営業を再開しましたが、復旧の途上にある輪島市では運営が難しく、佐竹さんが出張販売を提案しました。 ■古畑紫さん 「新潟自体初めてで招待していただいてすごく楽しい。こんなに活気があるということは(中越地震の被災後)戻ったということですよね。輪島もこうなれるように頑張っていきたい。」 支援に動いたのが、佐竹さんの娘・高校3年生の笑希さんでした。チーム中越の一員として輪島市を訪れ、同じ世代の中高生が古着を販売していることを知りました。 ■佐竹笑希さん 「被災地の状況を初めて目の当たりにして、自分は何もできないというのがもどかしくて。」 被災した店舗の再開を手伝う一方で、古着を長岡でも販売できるよう準備を進めました。現在は、輪島市の古着を販売する2号店として高校の文化祭やイベントに出店。売り上げは、経費を除いて全額を被災地に寄付しています。 ■佐竹笑希さん 「能登半島で古着を売って、その売り上げを使うというより、長岡で売り上げを出してそれを寄付できた方がいいと思ったので。自分たち若い世代も復興に興味を持っているというのは、なかなか輪島にいると伝わらないと思うので、この寄付金という形で間接的に伝わって、それが元気につながればいいなと。」 この日は、2人で古着を販売。若者を中心に、店を訪れる人たちと交流しました。 ■古畑紫さん・佐竹笑希さん 「楽しかったね。雨の中だけど、一緒に荷物運んだり、すごくいい経験になった。」 ■古畑紫さん 「(笑希さんの支援は)すごく嬉しいし、すごく頼りになる。きょうもすごい手伝ってくれて、声出してくれて、助かっている。自分で何か行動できるのであれば、行動して輪島をこんな長岡みたいに賑やかにしていきたい。」 中越地震の経験を、次の世代へ… ■チーム中越 佐竹直子代表 「20年前の自分の状況と今を比べると当然子どもも成長しているし、次世代につないでいかなきゃいけないと思いを新たにしている。ちょっと外に出てみると、たぶん自分は恵まれているとか色々助けられていることを気付くきっかけになるから。そんな循環をしてもらえたらなと思う。」