梅津瑞樹インタビュー プレビュー公演と本公演は「二度おいしい」。ミュージカル「伝説のリトルバスケットボール団」
韓国で数々の賞を受賞したミュージカル作品の日本版として、2023年7月に1日限りのプレビュー公演を公開した、ミュージカル「伝説のリトルバスケットボール団」。高校生たちの青春やいじめへの悩みなどを繊細に描き、心地よいナンバーで青春を追体験するミュージカルの本公演が間近に迫っている。演じるのは橋本祥平、梅津瑞樹、糸川耀士郎、吉高志音、太田将熙、平野良の実力ある俳優たち。6人のキャストが様々な役柄をエネルギッシュに演じ分けしながら、楽しくも感動する物語を紡いでいく。 【全ての写真】ダイン役の梅津瑞樹 ――プレ公演から約半年経ちますが、今の心境は? 梅津:率直に、だいぶ月日が経ってしまったなと思います。もちろんその間、色々とお仕事をしていたのであっという間でした。思い出し稽古が始まりますが、覚えているだろうか。少し恐ろしいですね。 ――最初に脚本を見た時の印象、感想は。 梅津:すごくシンプルだなぁと思いました。起承転結や話の構成の仕方、難しくなくわかりやすい。でも後半からは急に色々発覚して突然シリアスになるので、その辺りは韓国の映画やドラマの感じを彷彿させられました。 ――普段から韓国ミュージカルなどを見るのでしょうか。 梅津:ミュージカルはあまり見る機会はないですが、映画はちょくちょく見てます。邦画に飽きると洋画、洋画に飽きると邦画というのを繰り返して、日本語を聞きたくないなと思うときは韓国映画を見ます。 ――梅津さんから見る、韓国映画のおもしろさは? 梅津:顔で言えば同じアジア人なので日本も韓国も似ていますが、韓国の俳優さんたちはどちらと言うと濃いお芝居をする。アメリカ映画のほうに近い演じ方なのかなって思います。そういう演じ方が見ていてとても面白いです。 ――ダインという役柄の魅力について。 梅津:ギャップがあったり、少し可愛らしいところが魅力ですね。そういう風に役作りしたというのもありますが。ダインにとっては海のシーンがクライマックスに近いと思っています。もちろんその後にも見どころはありますが、ダイン個人としてはそこに感情を持っていくのに一番効果的な役作りはなんだろうと考えて、ああいう感じになりました。 幽霊3人は不条理なことに振り回されて亡くなっています。ヘビーなリアルがある反面、死してなお明るく振る舞う3人。死のうとしていたスヒョン(橋本祥平)もいますが、彼のように実際に生きている人間よりも生き生きとしている、そんなところが魅力でしょうか。 ――ダインという役柄の役作りのためにしたことは? 梅津:ないですね。あえて言うならば稽古場の雰囲気づくりをしました。探り合いが稽古場で最初は発生していたので、率先してふざけていって、なにしてもいいんだよという雰囲気を作っていった感じです。コーチ役の平野さんと僕が年長だったということもあって、まずは環境を整えていったということもあります。最終的にはみんななんでもできるような、言えるような感じになりましたけどね(笑)。 ――作品自体が持つ魅力について。 梅津:重複してしまいますが、シンプルで見やすいところですかね。公演時間も長すぎない。そして歌がすごくキャッチーだなと思っています。どれも印象に残りやすいんですよね。シャワー浴びながら歌ったりもしちゃうくらい。稽古の休憩時間などにもみんなでどの歌が好きかなんて話もしていたのですが、結構みんなバラバラでした。 ――梅津さんはどの歌が好きですか? 梅津:僕はもちろん「アイスの曲」と言わざるを得ませんね! 他にはクライマックス付近の曲や、スヒョン(橋本祥平)とサンテ(太田将熙)が歌う曲も。ジェットコースターに乗っているような軽快で不思議な良い曲でした。すごくポップなメロディーなんですが、歌詞がすごく切なくて。 ――覚えやすいという意味での「好き」でしょうか? 梅津:いや、メロディーがすごく絶妙なんです。自分が知っている歌や曲の王道とはちょっと違う、一段階外したところから入ってくるような譜でしたね。そこさえクリアしてしまえば覚えやすいのですが。 ――バンドさんがステージ後方に居て生演奏をされるんですよね。 梅津:軽快に前に進んでいくようなテンポの曲が多いので、あまりバンドの方とセッションをしているような感覚はなかったですが、「アイスの曲」は特に気を付けていたことがありました。 僕は役者で、ミュージカルを多くやってきているわけではありません。ではどういう風に歌を表現しようかと考えた時、芝居の流れを強く意識して歌うことでした。微妙にニュアンスを変えながら歌ったりもしています。そうすると、軽快なテンポの曲では感じなかったことが、繊細な「アイスの曲」だとバンドの皆さんがこちらに気を使いながら弾いているのが非常によくわかりました。なので、こちらも歌で会話するような雰囲気で……、そうやって歌うと応えてくださるんですよね。これがなるほどセッションか、と。おもしろかったです。生でバンドさんが居る意味を肌で感じました。