高嶋ちさ子の父・弘之さん「ダウン症は個性の一種」「未知子がいたから乗り越えられた」
高嶋ちさ子さんの父、高嶋弘之さんは現在、都内のマンションで、ダウン症の長女・未知子さん(62歳)と二人暮らし。御年90歳だが、講演会やテレビ出演など多忙を極める中、ライザップに通い、毎日肉を食べ、しゃべり出したら止まらない。そんな弘之さんが上梓した「笑う老人生活」(幻冬舎)が話題だ。書き上げた書籍の原稿を読んだちさ子さんは「どうせまたくだらない事、書いているんだろうと思ったら、意外に面白かった」。二人はどんな暮らしを送っているのだろうか。 【想い出の家族写真】ちさ子さんとみっちゃんと * * * ■ダウン症を隠す時代だったけれど 未知子という存在があったから人に優しくなった、と自分では思います。 街を歩き、ダウン症らしき人を見るとご迷惑かもしれないと思いつつ、 「うちの娘もダウン症なんです」 と、声をかけるようになりました。 それが本当に良いかどうかはわからない。でも声をかけずにはいられない。 社会の中でちょっと生きづらさを抱える人の視点に立って、ほんの小さな優しさを与え合うことの素晴らしさを、未知子が教えてくれたように思います。 当事者であるからこそわかることではありますが、ダウン症児の家族にとっては厳しいことも沢山あります。だからこそ同じ立場の人と繋がれると、緊張の糸がほぐれ、たったその瞬間でも誰かと思いを共有できることが救いになり、見えてくることや、感じられることが沢山あります。そしてそれが光になると私は信じています。 だからダウン症の方と会うと、励ましたい。安心してもらいたい。理解者がいるということを思っていてほしいです。 僕がテレビに出るようになって、声をかけると、向こうが知ってくれていることも多々あって、意外にもそれが助かっています。 僕と未知子は、イコール。未知子のことも、わかってくれています。 未知子は一人でいる時も、街で声をかけられるようになりました。
未知子ファンも多いと聞きます。人から声をかけられることにまだ慣れていない未知子は、いきなり有名になった!?ことに戸惑い、「嫌だ嫌だ」と、露骨に不快感を見せることもありますよ。 その都度、「ちーちゃんのファンの方々なんだから。ちーちゃんの人気なんだから」ってなだめています。 「声かけていただいたら、ありがとうございますって言わなくちゃ」 「私は絶対そんなこと、言いたくない」 って。こういうところ、あるんですよ。 ■感心するほど姉思いのちさ子 そうは言うものの、未知子は、ちさ子のおかげで、大好きな女優・山村紅葉さんや近藤真彦さんに会うこともできました。ある番組の中でのサプライズでした。ちさ子は本当にこちらが感心するぐらい、いつも姉を気遣い、姉思いですし、未知子もちさ子を信頼し、感謝をしていると思います。 未知子は、自分の与り知らないところで物事が進んだり、理解できないところがあったりすると、気分を害するのか、いきなり怒り出します。 そういう時は、正直どう対応していいか、わからない。困ってしまいますねぇ。 ちさ子が外で、「姉はダウン症」と発言していることが気に入らない様子で、 「だって私。治ったもん」と言います。 「わかった、じゃ、今度(ちーちゃんに)言っておくね」 そう言ってとりあえず落ち着かせます。 ■足し算はできるけど…… ちさ子が青山学院に進学した時も、 「どうして私は青学じゃないの」 こう聞いてきました。 「だって、みっちゃん。足し算はできるけど、割り算はできないよね」 うまいこと言ったな、僕。 未知子、「そうかー」って納得していましたよ。 家内が亡くなった後、もし僕一人だったら、たぶん生きていられなかったと思う。 未知子がいてくれたおかげで乗り越えられた。 一昔前には、ダウン症の家族がいると家の中に閉じ込め(引きこもり状態)、存在そのものを否定するかのように隠していた時代がありました。 それが今や、芸能人ですら、子どもがダウン症であることを公表しています。 ダウン症は個性の一種です。 できることもいっぱいあるし、豊かな感情を大切にしてほしいと思います。