現代の「デジタル社会」で、なくしては成り立たない「コンデンサー」のしくみ
デジタル社会を支えるコンデンサー
コンデンサーというのはモーターなんかに比べると身近ではない感じがする部品だが、実はいたるところで使われており、現代のようなデジタル社会は、コンデンサーなくしては成り立たない。 たとえば、計算機のメモリー。計算機が計算するには「数字」を記録しておくところがどうしても必要だ。1+1=2を計算するにも1、1、2という3つの数を記録する場所が必要である。この「記録場所」にコンデンサーが使われている。 コンデンサーに電荷がたまっていれば「1」、空なら「0」を表すとする。「これじゃあ0と1しか表現できないじゃないか」と思うかもしれないが、それは「二進法」という方法を使うと解決する。 ご存じのとおり、「二進法」はどんな数でも1と0だけで表現できるという便利な方法だ。たとえばコンデンサーを10個用意する。 「全部空」の状態から「全部充電」の状態まで、10個のコンデンサーが「空」か「充電」かの場合を全部数え上げると210で1024通りの場合がある。ということはコンデンサー10個で1024までの数を表現できることになる。11個なら倍の2048、12個ならさらに倍の4096とコンデンサーの数を増やせばいくらでも大きな数を表現できる。 ここでは、計算機を例に説明したが、お馴染みのスマホのメモリー管理も同じしくみである。スマホに蓄えられている音楽も映像も、こうやってコンデンサーの「充電」と「空」のパターンで表現されているのである。
田口 善弘(中央大学理工学部教授)