日銀の年内利上げ予想が8割占める、最多10月は4割に増加-サーベイ
(ブルームバーグ): 3月に17年ぶりに利上げを実施した日本銀行が、年内に追加利上げに踏み切ると予想するエコノミストが8割に達した。具体的なタイミングは、10月が4割で最多となっている。
ブルームバーグが12-17日にエコノミスト54人を対象に実施した調査によると、年内の追加利上げ予想は合計で81%と、3月の金融政策決定会合の直後に行った前回調査の64%から増加した。10月会合が41%に増える一方、7月会合は19%に減少。前回11%の9月会合が17%で続いた。前回は10月が最多の26%、7月が23%と拮抗(きっこう)していた。
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一方、リスクシナリオとして利上げの最も早いタイミングも尋ねたところ、7月の52%を筆頭に、84%が7月までに利上げがあり得ると回答。今年末の政策金利水準は中央値で0.25%と前回調査と同水準だったが、ターミナルレート(利上げの最終到達点)は0.75%と前回の0.50%から上昇した。
植田和男総裁は今月、日銀の見通し通りに推移すれば「基調的な物価上昇率が少しずつ上がっていく中で、緩和の度合いの縮小も考えていかないといけない」と発言。円安による輸入物価の大幅上昇で「2%を超えて基調的物価上昇率が上がってしまうリスクが上がれば、金融政策の変更も考えないといけない」とも語った。好調な春闘集計結果の継続に加え、円安加速も年内の利上げ予想の拡大につながっている。
オックスフォード・エコノミクスの長井滋人在日代表は、黒田東彦前総裁の時代であれば2%達成に万全を期すために利上げは当分あり得ないが、「黒田時代への反省で生まれた植田日銀ではインフレ目標を絶対視しない」とみる。植田体制は「2%近傍へインフレが向かっている限りにおいて、できるときに早めに金利のある世界に戻ることを優先させる」との見立てだ。
米国の堅調な経済や根強いインフレに伴う早期利下げ観測の後退を背景に、外国為替市場では34年ぶりの1ドル=154円台まで円安が進行している。円安要因で日銀が利上げを余儀なくされるリスクに関しては、70%があると回答した。