トヨタ会長を取締役選任、会社側提出の全3議案可決-株主総会
(ブルームバーグ): トヨタ自動車が18日に開いた定時株主総会で、米議決権行使助言会社大手2社が反対を推奨していた豊田章男会長の取締役選任が可決された。
愛知県豊田市にあるトヨタ本社で開かれた株主総会で、取締役10人の選任など会社側の3議案は全て過半数の賛成を得て可決された。一方、気候変動関連の渉外活動について情報開示の充実を求める株主提案は否決された。
2009年に社長に就任した豊田氏は、米国における大規模リコール問題、東日本大震災、新型コロナウイルス禍など多くの危機を乗り越え、同社の成長をけん引してきた。その一方で、昨年4月に佐藤恒治氏に社長の座を譲ってまもなく子会社のダイハツ工業で認証不正が発覚したほか、今月にはトヨタ本体での不正も明らかとなった。この日の総会では長年経営の舵取りを担ってきた豊田会長の責任を問う声も上がり、19日午後に開示される賛成・反対比率の詳細が注目される。
今回の株主総会で初めて議長を務めた佐藤社長は冒頭に認証不正で顧客や株主に心配や迷惑をかけたとして謝罪。トヨタグループの責任者である豊田氏と共に再発防止に向けた取り組みを進めていくと語った。
相次ぐ不正を受け、質問に立った株主からはトヨタのガバナンスが十分機能していない懸念があり、トヨタのモータースポーツへの取り組みは車好きで知られる豊田会長の「道楽」ではないかといった声も上がった。
回答に立った豊田会長は、自身の行動は院政などと言われることがあるが、語源を踏まえると本来は老害といったネガティブな意味ではないとした上で、佐藤社長などの執行メンバーを今後もサポートしていく考えを示した。
豊田会長の取締役選任を巡っては昨年は賛否の分かれていた議決権行使助言会社グラスルイスとインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)がそろって反対を推奨していた。また、公的年金基金で米国最大のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)や2位の同州教職員退職年金基金(カルスターズ)といった一部大手機関投資家も昨年に続き豊田氏などの選任について反対する意向を示していた。