EU離脱で頭の体操、町田市が東京を“離脱”するとしたらどんな手続が必要?
町田市が神奈川県に編入するには
町田市と隣接都市との境界変更については、対象区域内の住人や土地・建物の所有者など、関係権利者すべての同意を得た上で、各市議会を通して調整されている。それでは、仮に町田市がまるごと神奈川県に編入する場合、どういった手順が必要になるのだろうか。 神奈川県の市町村課によると、1947年の地方自治法施行以降、上記のような都道府県境に位置する市町村間の境界変更や、都道府県境を越えた市町村の合併(いわゆる越境合併)の事例はあるが、「一つの市がそっくり別の県の市になる」といった事例はこれまでないという。 さらに教えてもらうと、町田市の神奈川県への編入は「都道府県の境界変更」にあたり、地方自治法第6条第1項「都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定める」に基いて、法律を定めることとなる。つまり、まずは誰かが法案を国会に提出し、衆参両院を通過することが必要となる。 そしてこの法律は日本国憲法第95条に規定する「一の地方公共団体のみに適用される特別法」(地方自治特別法)となるので、東京都と神奈川県でそれぞれ住民投票を行い、双方で過半数の賛成が得られなければ、効力は生じない。 住民投票の具体的な手続はこうだ。(神奈川県政策局自治振興部市町村課提供、地方自治法第261条から) 1.特別法が議決された後、最後に議決した議院の議長が内閣総理大臣に通知 2.内閣総理大臣は直ちに総務大臣に通知し、総務大臣は通知を受けた日から5日以内に関係普通地方公共団体の長(ここでは東京都知事及び神奈川県知事)に通知 3.関係普通地方公共団体の長は、通知から31日以後60日以内に賛否の投票を実施 4.投票の結果が判明したら、関係普通地方公共団体の長は、判明後5日以内に総務大臣に報告。総務大臣は直ちに内閣総理大臣に報告。 5.報告があった後、内閣総理大臣は法律の公布手続。あわせて両院議長に通知。 東京都と神奈川県という2つの大きな自治体で住民投票を実施するということ自体大変だが、国全体を巻き込んだ大掛かりなプロセスになることが分かる。