ヤンキーススカウトが楽天の決断に敬意
楽天の英断は、”マー君待ち”をしていたメジャーの各球団に驚きを持って迎えられた。ヤンキースの日本在住プロスカウトである紀田彰一氏は、田中将大のポスティングに備え、今シーズンの登板試合をほぼマークしてきたが、上限20億円の新ポスティングシステムに変わったことで「出すか」、「出さないか」は、半信半疑だったという。 ■ヤ軍スカウト 楽天の決断に敬意 「ポスティングの上限が20億円に設定されたことで経営上の見地から楽天は、もう1年だけ(メジャー移籍は)見送るのではないかと考えていました。海外FAは2年後ですから。あと1年は営業面でチームに貢献してもらうという結論が出てもおかしくなかったでしょう。田中選手の気持ちを理解して優先した楽天球団の決断には敬意を表します」 ウインターミーティング中に楽天の三木谷オーナーの「出さない」という発言が一人歩きして、さらに、マー君との会談後、楽天の決断が引いたことで「やはり残留か」と予測していた球団は少なくない。レンジャーズのようにマー君の獲得競争からの撤退を示唆した球団まで出てきていた。前述の紀田スカウトは、さっそく楽天のポスティング容認のニュースを本国のヤンキース編成本部に伝えたが、まだ正式な獲得へのGOサインは出ていない。あまりに不確定要素が多すぎて「もしポスティングをしたら」の準備も詰めては行えなかったのだろう。どの球団も、おそらく同じように半信半疑で事態を見守っていたのだ。 ただ新ポスティングルールでは20億円の入札額を支払う意志を示した球団すべてが交渉可能で、例え交渉に失敗してもリスクがないため、かなりの数の球団がアクションを起こすであろうと予想される。前述のヤンキーススカウトの紀田氏も「あくまで一般論」と断った上で、今後の予測をこう語った。 ■入札20億円 5~6年契約で最大80億円か 「交渉に失敗しても入札額は没収されませんから積んでくる球団は、かなりあるのではないでしょうか、おそらく年俸では、5年から6年で50億円から80億円の条件が必要になるでしょう。ただメジャーで1球も投げていない投手に対してポスティングの20億円をプラスして合計で100億円近い投資のできる球団となれば限られてきます。資金力と田中選手獲得への特別枠を作れる球団が有利になると思います」