2月歌舞伎座『猿若祭二月大歌舞伎』上演決定 中村屋ゆかりの作品『文七元結』に勘九郎・七之助兄弟が挑戦
令和7(2025) 年2月歌舞伎座『猿若祭二月大歌舞伎(さるわかさいにがつおおかぶき)』の上演が発表された。 【全ての画像】『猿若祭二月大歌舞伎』出演者各写真 江戸歌舞伎は、初代(猿若)勘三郎が寛永元(1624) 年に現在の京橋付近に猿若座(後の中村座)の櫓を上げたことが始まりとされ、『猿若祭』は江戸歌舞伎の歴史を振り返り、さらなる発展を願って行われる大事な公演となっている。 令和7年の『猿若祭』では、中村勘九郎・七之助兄弟が中村屋ゆかりの作品に臨み、坂東玉三郎の阿古屋ほか豪華ラインナップが並ぶ。昼の部は、花形の競演で魅せる『鞘當(さやあて)』から。坂東巳之助の不破伴左衛門に、中村隼人の名古屋山三。新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』で沸かせたふたりが江戸の粋を結集した古典の名作に臨む。 続いては、歴史的に名高い豊臣秀吉の花見を題材とした『醍醐(だいご)の花見』。中村梅玉の豊臣秀吉はじめ、中村雀右衛門の利家正室まつ、中村福助の淀殿、坂東亀蔵の福島正則、坂東彦三郎の加藤清正、中村又五郎の前田利家、中村魁春の北の政所など、歴史上の人物が並ぶ華やかな舞踊となる。 そして、昭和63(1988) 年に銀座セゾン劇場で十八世中村勘三郎(当時五代目勘九郎)が演じた『きらら浮世伝』が歌舞伎となって歌舞伎座に登場。スーパー歌舞伎でもおなじみの横内謙介が歌舞伎版でも脚本・演出を手掛け、父・勘三郎が勘九郎時代に演じた“蔦重”こと蔦屋重三郎に当代・勘九郎が挑む話題の新作だ。そのほか、中村七之助が遊女お篠で出演、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村福之助、中村歌之助の花形が揃い、中村歌六、中村芝翫、中村錦之助ら充実の配役で贈るエンターテインメントとなっている。 夜の部は、平成9(1997) 年より演じ続けている坂東玉三郎の当り役『壇浦兜軍記 阿古屋(だんのうらかぶとぐんき あこや)』が歌舞伎座に登場。近年の歌舞伎座では後進と共に演じてきた玉三郎が、歌舞伎座でひと月阿古屋を勤めるのは平成27(2015) 年以来10年ぶり。『江島生島(えじまいくしま)』は江戸時代、実際に起きた大奥の一大スキャンダルを題材とした美しくも儚げな舞踊。愛し合う江島と生島。歌舞伎役者の生島新五郎を大名跡の襲名を控える尾上菊之助、大奥の江島・江島に似た海女を中村七之助が勤める。 そして猿若祭を締めくくるのは、中村勘九郎・七之助兄弟が満を持して臨む『人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)』。名人・三遊亭円朝の口演をもとに創られた傑作は、江戸情緒溢れる人気作。祖父・十七世勘三郎、父・十八世勘三郎が得意とした左官屋長兵衛を勘九郎、女房お兼を七之助がそれぞれ初役で勤めることが話題に。ふたりの娘お久に中村勘太郎、手代文七に中村鶴松を配し、中村屋ゆかりの作品に挑む。角海老女将お駒に中村萬壽、和泉屋清兵衛に中村芝翫、鳶頭伊兵衛に尾上松緑が揃う万全の配役に期待を。 明治28(1895) 年、白井松次郎、大谷竹次郎兄弟により創業した松竹は、令和7(2025) 年に創業130周年を迎える。この節目の年を記念し、歌舞伎座のチラシには、これまで松竹が歌舞伎座で手掛けた歌舞伎公演の筋書から、観客に親しまれた表紙デザインを使用する。令和7年2月公演のチラシは、昭和9(1934) 年2月の筋書表紙が選ばれた。 資料提供:松竹大谷図書館 <公演情報> 歌舞伎座 松竹創業百三十周年『猿若祭二月大歌舞伎』 2025年2月2日(日)~25日(火) 休演:2月10日(月)、18日(火) 会場:東京・歌舞伎座 【上演演目】 ■昼の部(11:00開演) 『鞘當』『醍醐の花見』『きらら浮世伝』 ■夜の部(16:30開演) 『阿古屋』『江島生島』『人情噺文七元結』 【チケット】 一般前売:2025年1月14日(火) 10:00~