【対話はしません】元局長が死亡で混乱の兵庫県・斎藤知事が言い放った「異例の答弁」の中身
「死をもって抗議します」 姫路市の生家で発見されたスマートフォンに残されていた“遺書”には、そんなメッセージが書かれていたという。 【つづきを読む】「知事は傀儡だった」兵庫・斎藤知事のバックについていた「疑惑の」へ集まる痛烈批判 斎藤元彦・兵庫県知事(46)のパワハラ疑惑などを告発していた元西播磨県民局長のA氏(60)が7月7日夜、自ら命を絶った。A氏の死後、知事の発言や県の対応に対するクレーム電話が殺到。公務に支障が出る事態に発展している。これまで県に寄せられた抗議や批判は1000件にものぼるという。 3月12日、A氏が作成した県政の“7つの疑惑”という文章が出回ったのが、一連の騒動の始まりだった。県の人事課などが調査に乗り出し3月25日にA氏への事情聴取を行ったが、斎藤知事は3月27日の記者会見でA氏を「嘘八百」「公務員として失格」と吊し上げた。 A氏は数日後に定年退職する予定だったが、西播磨局長職から解くことで退職を阻止し、停職3ヵ月の懲戒処分を下している。これを受けてA氏は知事の発言に対する反論文を作成。一部の県議やメディアに送付するなど、対決姿勢を崩さなかった。 A氏を知る県関係者が打ち明ける。 「Aさんは知事の発言ひとつひとつに具体的な反論・反証を用意していた。県民や職員にとにかく事実を知ってほしいという一心で行動していました。後輩職員からの相談などを受けていたことも、今回の告発文を出した経緯です。阪神とオリックスの優勝パレードを担当した課長が死亡したことを県が公表しようとしなかったという前例もありましたから。そんな中で無所属の丸尾牧県議(59)が職員へのアンケートの結果を公表しましたが、職員の中では『誰が言ったかの犯人探しが始まっている』という声が出たことで、Aさんは他の職員たちに迷惑をかけることを危惧したわけです」 実際、FRIDAYデジタルが5月にA氏に取材を申し込んだ際、知人を介して以下のような連絡を受けている。 「現在、県の職員に(県の)当局から強い圧力がかかっている状況です。取材を受けることによって職員に迷惑がかかると思うと精神的にしんどいのが、正直なところです。申し訳ありませんが、しばらく様子見をさせていただけませんか」 A氏を含む県職員からの批判の矛先は、知事のパワハラや数々の疑惑だけではない。斎藤知事の就任後、業務上大きな不具合が生じていたのも問題だった。地元紙の記者が言う。 「コロナ禍で職員の出勤率を4割に引き下げるリモートワーク施策を行ったところ、『先進的だ』との評価に繋がり、知事はご満悦でした。これを受け、知事は3つある県庁舎のうちの2つを’26年度から解体し、跡地を芝生にするという方針を示した。本庁は既にパンク状態なほど職員が詰め込まれているにもかかわらず、庁舎を減らすというのです。これには職員の出勤率を抑える取り組みを継続する意向が隠れていると思われます。それに伴い、外郭団体なども同様のリモートワークが強要される見込みです」 市町村や外郭団体も、県庁職員の許可が下りてから初めて動き出せるものが多い。前出の地元紙記者が続ける。 「個人情報保護の観点から、リモートワークの職員の連絡先は誰にも伝えられないので、知事は『公用携帯を持たせることで解決する』と述べています。それで県庁の業務が成り立つはずがありません。極端に業務効率が落ち、県政の質が悪化することは明白なのです。懸念した職員が抗議し、本会議で議題にあがりましたが、斎藤知事は『この道を行くしかない。対話はしません』と悪びれる様子もなく言い放ちました」 既に県の一部では在宅勤務などで、職員の出勤率を4割に引き下げる取り組みも実施されている。しかし西播磨の市政関係者は、「本庁との連絡がスムーズでないため、既に業務上で支障を感じることもある。近接他市でも同じような懸念する声が聞こえてきています」と眉をひそめる。 斎藤県政では立ち行かない―。A氏が告発に至った背景には県庁の機能不全に対する不安もあったのだ。 A氏の死後に行われた会見で、斎藤知事はメディアから厳しく追及されたが、「県政を前に進めることが私の責任の果たし方だ」と辞任を否定している。 自民党と維新の会の相乗りで当選を果たした斎藤知事に対しては、自民党県連会長の末松信介参院議員(68)までもが「知事には大きな正しい決断をしていただきたい」と事実上の辞任要求を行っている。 維新の会の創始者である橋下徹氏(55)も情報番組『旬感LIVE とれたてっ!』(関西テレビ)に出演した際、こう苦言を呈した。 「斎藤知事は部下に対していきなり『嘘八百』とメディアを通じて公言したわけですよ。それが嘘八百ではなかったんです。そのことで、因果関係がどうかは別としても、一人の職員が亡くなったというこの事実だけで、僕は組織のトップは辞めないといけないと思います。(中略)県政を立て直すためとかそうじゃなくて、事実関係を明らかにして、明らかになった段階で僕は辞めるべきだと思いますけどね」 まさに四面楚歌の斎藤知事。だが、一方で「県政の混乱は斎藤知事の問題だけではない」と怒りを隠さない県政関係者もいる。
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