『モアナと伝説の海2』『ウィキッド』『グラディエーターII』3強の相乗効果“Moaglicked”で感謝祭連休に大記録が誕生!
『ウィキッド ふたりの魔女』(2025年3月7日日本公開)と『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(日本公開中)の相乗効果で“Glicked”なるミームが盛り上がっていたのが感謝祭前の週末。その時から言われていたように、そこに『モアナと伝説の海2』(日本公開中)が加わり“Moaglicked”となったことで、先週末(11月29日から12月1日)も含む今年の感謝祭期間の北米興収ランキングは、前人未到の大記録が生まれることとなった。まずはその概況から伝えることにしよう。 【写真を見る】北米随一の書き入れ時、感謝祭週末の興収新記録を大幅更新!全体興収も前人未到の4億ドル超えに 感謝祭の連休は感謝祭前日の水曜日から始まり、そこから5日間が北米映画界を代表する書き入れ時として知られている。昨年のその期間の全体の興収は1億7000万ドル強。コロナ禍の数年は例外ではあるが、それ以前のほとんどの年で2億ドル台後半、唯一2018年だけが『シュガー・ラッシュ:オンライン』(18)など複数の大作が牽引したおかげで3億ドルを突破していた。しかし今年、この5日間の全体興収はなんと4億2343万ドル。その91.6%を上記3作品が占めているのである。 週末も含めてこの期間のトップに輝いたのは、もちろん連休のスタートに合わせて封切られた『モアナと伝説の海2』だ。4200館で公開され、連休5日間の興収は2億2544万ドル。これは歴代の同期間の興収新記録であり、従来まで1位だった『アナと雪の女王2』(19)の成績を1億ドル以上も上回る圧倒的なもの。前作『モアナと伝説の海』(16)も感謝祭タイミングでの公開だったが、5日間興収は8208万ドル。さすがに3倍まではいかなかったが、それに近い数字を叩きだすこととなった。 また前週に初登場1位を飾った『ウィキッド』も、この5日間の興収が歴代3位となる1億1827万ドル。『グラディエーターII』は歴代36位となる4428万ドルと、これらが揃ったとなれば大記録が生まれるのも納得である。完全に余談ではあるが「Deadline」の報道によれば、感謝祭期間中に消費された七面鳥の数は4600万羽だったのに対し、3作品合計の観客動員は3000万人ほどだったのだとか。 特に興味深いのは、このビッグウェーブを巻き起こした3作品がいずれも賞レースでそれなりに有力視されているタイトルだという点だ。第97回アカデミー賞の前哨戦の幕開けであるナショナル・ボード・オブ・レヴューでは、『ウィキッド』が作品賞と監督賞を受賞。同賞の作品トップ10のなかに『グラディエーターII』もランクイン。また『ウィキッド』は、アメリカ映画協会賞の作品トップ10入りも果たしている。 『モアナ2』の場合は、前作が長編アニメーション賞と歌曲賞の2部門で候補にあがっており、2作連続の候補入りがかかっている。もっとも、今年の長編アニメーション賞は例年にも増して激戦が予想されており、現時点での予測では5~6番手の当落線上ギリギリのところ。興行を盛り上げるタイトルが、そのまま同年の賞レースにも名乗りを上げる。そういった意味で、やはり“Moaglicked”は昨年の“Barbenheimer”級のムーブメントと捉えて差し支えないだろう。 文/久保田 和馬