藤井聡太七冠、2025年は8冠返り咲く!「実力不足を改善した先にみえてくる」/将棋
将棋の藤井聡太七冠(22)が新聞各社などの新春合同インタビューに応じた。史上初の全8タイトル独占を達成した2023年から、昨年は叡王戦で敗れて初の失冠。対局では序盤から戦型が多様化する流れが加速する中、自身も新たな戦術に取り組むなど試行錯誤の1年と総括し、25年は「実力不足を改善した先にみえてくる」と8冠返り咲きを狙う。 8冠で迎えた2024年のタイトル戦成績は27勝7敗1持将棋(引き分け)で、勝率は・771。8冠を達成した23年は・778と圧倒的な強さは変わらないが、冷静に課題を分析していた。 「結果面では失冠するなど振るわないところもあった1年でした」。昨年4~6月に指された第9期叡王戦で当時挑戦者の伊藤匠叡王(22)にフルセットの2勝3敗で惜敗したが、昨年のテーマとして、「後手番が今までより苦戦する傾向があり、対策として作戦的な幅を広げるために違う戦型を試してきた」と説明した。 先手番より不利とされる後手番の克服という挑戦で、「それがうまくいっていないというのが、正直なところ」と試行錯誤を重ねていた。 対戦相手も同世代を中心にAI研究で対策を進め、「序盤から戦型が多様化してきている」。伊藤叡王とは昨年2~3月の第49期棋王戦でも対局し、防衛はしたが、公式戦で初の持将棋(引き分け)を経験。「昨年最も印象深い1局で、(伊藤叡王は)持将棋も含めて深く研究していた」と振り返った。 昨年からは体調管理も意識し、同5月の第73期王将戦就位式では副賞でエアロバイクが贈られ「運動は意識しないと機会が限られるので(バイクを)漕いでいます」。鉄道好きで知られ、気分転換は駅の発着など正確に車両を運行するソフト・トレインシュミレータで「オンとオフを切り替えるタイプでなく、将棋が中心」と生活リズムは変わらない。 8日には伊藤叡王の挑戦者を決める第10期叡王戦本選トーナメントの1回戦で増田康宏八段(27)と対局。8冠復帰を目指して必勝態勢で挑む一方、戦術面の幅を広げる工夫は「長期的にも必要なので引き続き取り組む」と決意。叡王奪取は「実力不足を改善した先に、それ(奪取)がみえてくる」と静かに闘志を燃やした。(山内倫貴) ■藤井 聡太(ふじい・そうた)
2002(平成14)年7月19日生まれ、22歳。愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下で、16年に14歳2カ月でプロ入り。20年に第91期棋聖戦で初タイトル。昨年2月に第73期王将戦で故大山康晴十五世名人を超えるタイトル連続獲得の最多記録となる20期達成。同7月は第95期棋聖戦で自身初の永世称号「永世棋聖」の資格を取得し資格獲得の最年少記録を更新。