“先輩”渡邉伶音を「超えたい」…福岡大附属大濠のサントスマノエルハジメ「積極的にプレーできた」
「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は3日目を終え、ベスト8が出そろった。第1シードの福岡大学附属大濠高校(福岡県)は余力を残したまま準々決勝へ進出。2試合連続で50点以上の差をつけて圧倒し、12名のエントリーメンバー全員がコートに立った。 112-54で勝利した湘南工科大学附属高校(神奈川県)との初戦で、2年生センターのサントスマノエルハジメは10得点7リバウンドをマークした。しかし、11分58秒のプレータイムで4つのファウルを取られ、ターンオーバーも3つ。本人は「ファウルトラブルになってしまって、自分の思うようなプレーができなかった」と反省を口にした。 続く3回戦、チームは光泉カトリック高校(滋賀県)を相手に第1クォーターから33-7と好スタートを切り、最終スコア99-40で快勝。この日はサントスも躍動した。 「リバウンドと走ること」が自分の仕事と話す背番号15は、何度もディフェンスリバウンドを奪うと、194センチの大きな体を揺らしてコートを駆けあがった。ファウルを「0」に抑えたことで出場時間も22分13秒まで伸び、試合をとおして15得点6リバウンド。フィールドゴールも9本中6本成功と安定感があり、「昨日からファウルを改善できましたし、今日は積極的にリバウンドやシュートにもいけたので良かったと思います」と手応えを得た。 同じポジションには、1学年上の渡邉伶音がいる。渡邉はサントスよりもさらに高い206センチ。世代別の日本代表や特別指定選手としてBリーグでもプレーし、高さ、うまさ、フィジカルを兼ね備える大黒柱だ。 「シュート力がありますし、フィジカルもすごく強いので、練習中はよく吹っ飛ばされます(笑)」とサントスは渡邉のすごさを語る。しかし、そんな世代を代表する選手と日頃の練習からマッチアップできることは、サントスの成長スピードを加速させているに違いない。 「富山から来た選手で、体も強いので、貴重なビッグマンになっていくと思います。伶音と“2ビック”のような形もできるかもしれませんし、これからプレーの幅を広げていけたらなと。でも、まずはコートの端から端まで走れるようになることが彼の課題ですね」 サントスが富山県の福野中学校から福岡大附属大濠に入学して間もない頃、片峯聡太コーチはそう口にしていた。 「最初はチームのトランジションに全くついていけなかったですけど、最近やっとついていけるようになりました」とサントス。 昨年からベンチメンバーに名を連ねていたが、十分なプレータイムをつかむことはできなかった。それでも、「他のビッグマンがおろそかにしがちな部分を徹底的にやろう」と心掛け、献身的なプレーを磨いた。体つきも1年前と比べて屈強なものとなり、今では3ポイントシュートの向上にも努力を重ねる。 日頃から体をぶつけ合い、試合では一緒にコートに立つこともある渡邉の存在は、サントスにとって憧れであり、目標でもある。現時点では渡邉が先発、サントスがベンチスタートという立ち位置だが、「超えたい存在ではありますし、自分もスタメンになりたい」とサントスは意欲を示す。 この夏、発展途上のビッグマンは福岡大附属大濠の日本一獲得に貢献し、さらなる飛躍を遂げるはずだ。 文=小沼克年
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