土地の売買、災害発生時の復興もスムーズに…「地籍調査」を実施するメリットを専門家が解説
◆地籍調査を円滑におこなうための制度がスタート
地籍調査は1951年から実施され今年で73年が経ちましたが、国土の半分ほどしか進んでいないのが現状です。その背景にはさまざまな要因が考えられています。 ・地籍調査の必要性やメリットが人々に周知されていない ・地籍調査の対象になった地域の住民の機運が高まらず、協力を得にくい ・境界に接する土地所有者双方の立会いが必要であるなどのルールにより、調査に多くの労力と時間がかかる 地籍調査は、土地を所有している方の協力なくしておこなうことができません。具体的な地籍調査の流れは以下の通りです。 1:市区町村等が、調査に先立ち住民説明会を実施 2:土地所有者の立会いにより境界を確認し、測量を実施 3:2をもとに正確な地図を作り、面積を測定 4:作成した地籍簿と地籍図の案を土地所有者が確認 こうしてできあがった地籍簿と地籍図は法務局に送付され、備え付けられることになります。 対象地域に所有者がわからない土地があったり、住民から現地調査の協力が得られないと、調査が停滞する要因となります。そうした現状を受け、政府は法律を改正するなどして、地籍調査の円滑化、迅速化を図っています。 久保さんは「例えば、2020年から所有者が所在不明であっても、確認を得ずに現地調査を進められるようになりました。また、土地の所有者が、遠方にお住まいの場合や山林など険しい土地にいる場合は、現地で立ち会っていただかなくても、図面や写真などの資料を用いて境界を確認していただき、調査を進めることができるようになりました」と説明。 そして、2024年7月からは新たに「土地境界のみなし確認制度」が開始されました。これは、土地の所有者が明らかでも、説明会や立会いなどの通知に反応がない人がいるとき、今回の制度によって、土地の所有者へ筆界案(※)を送付することができ、20日間の期限までに意見の申出がなければ、その土地の境界を確認したものとみなして調査を進めることができます。 ※筆界案…所有している土地に関する情報を総合的に考慮して、土地の位置と推定される位置を図面などに表示したもの 地籍調査は土地の売買だけでなく、災害復旧をスムーズにするメリットなど、多くの効果を期待できるものです。最後に久保さんは「地籍調査は市区町村が実施するため、費用の負担は一切ありません。地籍調査に関する通知が届いたら、ぜひご協力をよろしくお願いします」と呼びかけました。なお、自分が所有している土地が地籍調査済みかどうかは、国土交通省 地籍調査Webサイトで確認することができます。 番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「地籍調査」について、特に注目したことをピックアップして発表していきます。村上は“地籍調査に協力しようね”と書き、「みんなで協力していかないと(地籍調査が)進んでいかないなと思いました」とコメント。一方、杉浦は“土地境界のみなし確認制度が新たにスタートしてるよ~!”を注目ポイントとして挙げていました。