地方選連敗で自民に不安 沖縄県議選は「ステルス作戦」、都知事選・都議補選も政権左右
自民党が地方選への危機感を強めている。派閥のパーティー収入不記載事件の影響で全国の注目選挙で敗北が相次ぎ、党内だけでなく公明党からも懸念の声が上がる。沖縄県議選(16日投開票)や東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)でも厳しい結果になれば、岸田文雄首相(自民総裁)の政権基盤が弱体化する可能性がある。 「選挙区の事情や背景は異なるが、少なからず国政における政治不信が影響したことは否めない」 自民の萩生田光一前政調会長は10日、会長を務める自民都連の会合で、都内の選挙で相次ぐ自民系候補の落選に事件が影響していると認めた。自身も事件に関連して党の処分を受けており、「原因を作った1人として改めておわび申し上げる」と陳謝した。 自民は4月以降、衆院3補欠選挙で不戦敗を含めて全敗し、静岡県知事選、東京都目黒区と港区の両区長選で推薦・公認候補が敗れた。また、広島県府中町長選や栃木県鹿沼市長選でも与党推薦の新人が落選した。府中町は次期衆院選の区割り変更で首相の選挙区になるほか、栃木県は茂木敏充幹事長の地元だ。 公明の山口那津男代表は9日、那覇市の街頭演説で「自民が(政治資金規正法改正の)具体策を出さずぐずぐずし、補選、知事選と負け続けた。国民の政治不信の強さを表している」と反省を促した。 嫌な流れを変えるべく、自民は7日に告示された沖縄県議選で公明とともに県議会の過半数奪還を目指す。ただ、事件を受けて幹部の投入を避けるなど党派色を薄めた戦いを強いられている。自民幹部は「後方の応援部隊は出している。ステルス作戦だ。ここは踏ん張りどころだ」と語る。 都知事選に関しては実績と知名度がある小池百合子都知事を支援する方向で調整している。ただ、都連関係者は「(小池氏から)『自民の応援はいらない』と突き放されるのが怖い」と不安も口にする。 一方、都知事選と同日に行われる中野、品川両区など8選挙区(各欠員1)の都議補選は、小池氏に近い候補者と対決する選挙区もあり、厳しい戦いが予想される。 都知事選と都議補選は「有権者の意思が現れるバロメーター」(山口氏)との見方もあり、自民が苦しい状況になれば9月の総裁選を前に首相の求心力が低下しかねない。(永井大輔)