ゲーム会社が温泉施設を承継した理由とは?儲けだけではない運営方針を紐解く
昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学びます。2月28日の放送では、大分県にある温泉施設の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。
ゲーム会社が温泉施設を受け継ぐ
今回藤原さんが紹介したのは、九州の大分県にある温泉施設の事業承継事例。「温泉のM&A事例なんてあるの?」と驚く北野ですが、いったいどのような会社が承継したのでしょう? 藤原「通常M&Aは事業のシナジーというか相乗効果を狙っているんですが、今回全く関係ありません。スマホとかVR、3Dゲームを中心に開発をしているゲーム会社さんが温泉施設を買いました」 特殊な事例と語る藤原さん。この会社は、最近だとeスポーツの分野にも進出していてゲーム施設の運営も行うなど手広く活動しているそうです。 ゲーム開発の会社が、なぜ温泉施設を承継したのでしょう? 藤原「ゲーム(の開発)は1タイトル2~3年かかります。ずっとパソコンに向き合ってて、実際2~3年会ったことない社員もいます。社員の健康を考えた結果、温泉施設を買おうということになりました」 北野「え?それは福利厚生の部類?」 藤原「無理くりつけるとそういうことになるのかなと(笑)」
社員のための福利厚生が目的
ゲームを開発しつつ、温泉施設を運営するということでしょうか? 藤原「あくまで社員の福利厚生が目的なので、温泉事業で利益を上げようとは考えていなかった」 実際に旅館業をすることになれば、料理の提供など、今までやったことのない事業に手を出すことになります。なので温泉施設だけの運営をすることになりました。 北野「社員の福利厚生をつかったら、他のお客さんは入れないの?」 藤原「一般の方にも開放しています。事前に予約をして、貸し切りで個人だと500円くらい団体でも1500円」 北野「安い!」 藤原さんもこの金額を聞いた時に「コレは儲ける気はないな」と思ったそうです。北野は「地元の町が作った手作り温泉みたいだ」と笑います。 もともと、前の温泉施設のオーナーが私財を使って作った温泉なのだそう。地域の自然から生まれたものなので、たくさんの人に使ってほしいという思いがあり、それを理解してほしいというのが譲渡の条件でした。