不動産不況が続く中国 「日本式の間取り」なぜ人気? 日本人建築家を取材
不動産不況が続く中国で、日本式の間取りを取り入れた住宅が注目されている。中国で活躍する日本人の建築家を取材すると、中国人のライフスタイルの変化が関係していることが分かった。 【画像】玄関・廊下・収納…中国式と日本式、間取りの違い 人気の理由は「プライバシー確保」
■不動産市場の低迷 「中国式」との違いは
中国では不動産大手「恒大集団」、開発大手「碧桂園」が巨額の債務超過に陥るなど、不動産市場の低迷が続いている。そうしたなか、若い世代を中心に住宅に求める条件に変化が起きているという。 建築家 鶴崎洋志さん(37) 「私がやっているような個人の客に関しては、日本が好きで、日本式にしたいという人が確かに多くいらっしゃって」 中国で建築家として活躍する鶴崎さん。鶴崎さんのもとには数年前から、「住まいを日本式に作り変えてほしい」という依頼が増えているという。中国式と日本式の設計では一体、何が違うのか? 鶴崎さん 「まさに玄関を入ったら、まず大きいリビングがあるのが中国式の特徴です」 中国式の間取りでは、玄関という独立したスペースが無く、ドアを開けるとすぐリビングにつながっているのが特徴だという。 生活空間をできる限り広くする目的から、廊下や収納スペースが無いのも、中国式の一般的な設計だという。 鶴崎さん 「中国人は面積に対してシビアというか、なるべく収納もいらないから、最大限の面積を確保してほしいという要望が多いですね」
■間取りの選択…両親「中国式」夫妻「日本式」
しかし、北京市ではこうした間取りに変化が起きているという。住宅価格が高騰するなか、若い世代を中心に限られたスペースを有効活用する日本式設計の人気が高まっているというのだ。 この日も北京市内にマンションを購入したという人が、鶴崎さんを訪ねていた。 鶴崎さん 「これはあくまでイメージです。洋服も開放でこのままかけられます。この下にも小さい収納ボックスが置けます」 両親と同じマンションを購入したという方さん夫妻。両親は中国式の間取りを選択したが、方さん夫妻は日本式の間取りにすることを希望している。 方躍さん(37) 「実用性が高く、中国の間取りより合理的だと思います」 妻(27) 「個人的には日本の間取りが好きです] 方さん 「(Q.どちらにするか迷いましたか?)ずっと日本式にしたかったので、迷いませんでした。私の部屋はそれほど広くはないので、スペースや収納、機能性について日本式の方が合理的だと思います」