「僕にとっては〝DFの鑑〟」。J1広島・荒木隼人が語っていた、水本裕貴への感謝と敬意
サンフレッチェ広島ユースで育ったCB・荒木隼人は、いまや広島のDFラインに欠かすことのできない選手の一人だ。 【写真】J1広島を率いて3年目のシーズンを迎えたミヒャエル・スキッベ監督 その荒木が2021年から背負う背番号『4』への思い、そして〝DFの鑑〟と尊敬する存在を語った2021年収録の独占インタビューを、再編集してお届けする。(「広島アスリートマガジン2021年9月号」掲載記事を再編集) ◆覚悟を持って偉大な背番号『4』を継承。リーグ後半戦も強敵FWに挑む ―ご自身のストロングポイントはどんなところだと感じていますか? 「空中戦や対人への強さだと思っています。身長が186cmと高く、体格に恵まれているのも大きいですね。ただ、ステップが大きかったり歩幅が広かったりと、背の高さがウィークポイントになってしまうこともあります。サンフレッチェに入ってからはフィジカルコーチの指導のもと、ステップワークの練習などで改善できるように取り組んできました」 ―体が柔らかいとのことですが、それも優位に働いているのではないですか? 「柔軟性があると可動域が大きくなるので、体の無理が利くという利点があると思います。柔軟のストレッチは広島ユース時代から欠かさず続けていて、180度開脚して地面にペタッと胸をつけることもできます。元々ケガをしにくいタイプなのですが、柔軟性を高めることでさらにケガをしにくくなっていると思います」 ―そして、タフなフィジカルも荒木選手の特徴です。出場したほとんどのリーグ戦でフル出場されている印象があります。 「回復力には自信がありますが、2021年に経験した17連戦(4月3日~5月30日にかけての大型連戦)の最後の方は本当にタフな戦いでした。とにかく試合に向けてコンディションを整えることが最優先で、練習をする時間をしっかり取れませんでした。夏の中断期間でやっと、自分のウィークポイントなど、伸ばしたい部分の練習に重点的に取り組むことができるようになりました」 ―ご自身のウィークポイントはどのような部分だと思われていますか? 「パスやヘディングです。セットプレーなどチャンスの場面で、長身を活かしたヘディングで得点を奪えるようになりたいと思っています。常に向上心を持ってプレーし、もっとレベルを上げて日本代表に選ばれることも目標の一つです」 ―荒木選手が、サッカーを続けるなかで影響を受けた人物はいますか? 「2019年までサンフレッチェに在籍されていた水本裕貴選手(2023年現役引退)です。僕にとってはDFの鏡といえる存在。30代半ばになってもトレーニングに励み、良いパフォーマンスを発揮されますし、そのための準備も朝早くからやっていました。僕たちがいくら早く練習場に着いても、水本選手は、そのときにはすでにトレーニングを始めているんですよね。日本代表で活躍して、チームでも長く活躍するためには、あれぐらいやらないといけないのだと痛感させられます。水本選手がサンフレッチェで活躍していた2012年、初のリーグ優勝を飾った試合はスタジアムで応援していたので、優勝した瞬間のことが強烈に印象に残っています。めちゃめちゃうれしかったです」 ―荒木選手が今シーズンから着けている背番号4は、かつて水本選手がサンフレッチェで着けていた番号です。 「素晴らしい結果を残された偉大な選手の背番号を引き継がせていただくことに『覚悟』と『責任』を感じました。大学でも着けていた4番は、僕にとっては大好きで特別な番号です。決してこれまでの23番が嫌だというわけではありません。ただ、これまで以上にモチベーションを高く持ち、サッカーと向き合っています」
広島アスリートマガジン編集部