「時代劇愛に溢れてる!」SNSで話題の映画『侍タイムスリッパー』 ひとり11役以上もこなした監督に聞く“伝えたい思い”とは? 「ものづくりをしている人への賛歌」
現在、SNSや口コミを中心に話題を呼んでいる映画『侍タイムスリッパー』。メガホンを取った安田淳一監督に、『ABEMA Morning』が単独インタビューを行った。映画監督だけでなく、異色の経歴やひとり11役以上もこなして制作されたという映画について話を聞いた。 【映像】時代劇の“聖地”も協力 圧巻の殺陣アクション 東京・池袋にある“インディーズ映画の聖地”「シネマ・ロサ」。この映画館1館だけから上映が始まった自主制作映画が、大きな反響と共に、全国に広がっている。 映画『侍タイムスリッパー』は、幕末の武士が落雷によって現代の“時代劇撮影所”にタイムスリップし、「斬られ役」として生きていく姿を描いたコメディー作品。わずか10名ほどのスタッフにより生み出された自主制作映画にもかかわらず、8月にシネマ・ロサで上映がスタートするやいなや、平日でも満席が続くほどの人気となっている。 「非常に完成度が高くて、本格的な時代劇の風格漂う感じで、お客さんもラスト30分は息をのむようにスクリーンに集中してご覧になっています」(シネマ・ロサ支配人) さらに、SNS上でも「時代劇愛に溢れてる!」、「自然と涙が溢れ出る」、「何回観ても面白い!」と絶賛の声が上がっている。 いったい何が観客の心を掴んだのか。映画のメガホンを取ったのは安田淳一監督で、京都の実家でコメ農家を継ぎながら映画制作を行うという異色の経歴を持っている。 「(お米作りと映画監督とは何か繋がる事は?)ないですね。けど、映画も脚本・撮影・照明・音・衣装にこだわり、全部積み上げてひとつになった時にクオリティが上がる。こういう部分では商売の上手くいく方法と映画を上手に作る方法には共通性がある」(安田淳一監督、以下同) 安田監督が脚本のほか、撮影・照明・編集など1人11役以上を務めた今回の映画。物語のアイデアを思いついたのは、ふとしたことがきっかけだったという。 「数年前に宝くじのCMで、ある俳優が侍の扮装で現代にタイムスリップしてきたというのがあり、結構面白かった。そのCMを見たときに『タイムスリップしてくる侍が斬られ役として頑張ったら』と思った時に、『あれ?それって面白い話になるんじゃないかな?』と思い、その後すぐにパソコンに向かって書いたら、30分ぐらいで基本的なプロットが出来、『多分これ面白いわ』ってことで始まった」 当初は少数のスタッフで動き始めたこのプロジェクト。自主制作で時代劇映画を作るという無謀とも思える挑戦に手を差し伸べたのが、時代劇の聖地「東映京都撮影所」だった。 「ベテランのスタッフの方が『わしらは、自主映画で時代劇って言ったら全力で止めるのよ。でもこれは、本がおもろいからな。何とかしてやろうやないかってみんな集まってんねん』といってくれてすごく嬉しかった。プロデューサーからも『7月、8月は撮影所は使わないから、それだったらちょっと勉強して安く使わせたるわ』と言ってもらえた」 こうして監督の脚本に惚れ込んだベテランスタッフらの協力を得て撮影がスタート。自主制作での限られた予算にも、様々な配慮をしてもらったという。