GW直前、日本人の休み方を科学的にダメ出しする。幸福度を上げる「能動的」な休み方とは
ゴールデンウィーク目前。大手企業を中心に空前の賃上げとなったことも後押しし、旅行やキャンプ、動物園に水族館など、普段ならできない遠出や、長期間を要するレジャーの計画を立てている読者は多いだろう。 【全画像をみる】GW直前、日本人の休み方を科学的にダメ出しする。幸福度を上げる「能動的」な休み方とは 一方で、「まだ計画を立てていない」人も少なくないのではないだろうか。それは実にもったいない。 目標を設定して「能動的に」かつ「誰かと交流」して休むほうが、幸福度を上げるからだ。そんな休み方こそが、仕事に良い影響を及ぼすことも分かっている。 “休み下手な日本人”からの脱却するため、ビジネスパーソンに必要な「休み方のリテラシー」を、過去の調査・研究から紐解いていこう。 大島由佳:SOMPOインスティチュート・プラス主任研究員。保険会社で商品・サービス開発を担当後、海外派遣先で経営企画・組織変革に従事したのち現職。個人の働き方と組織の在り方に係る調査に従事。経営学修士。
「休みに何もすることがない」日本人
厚生労働省によると、日本では仕事や職業生活で強いストレスとなっている事柄がある労働者は53.3%(2021年)にのぼる。 また、ある民間調査では休日や労働時間外にあまり休めていないと感じている人が7割以上、休みの日にやりたいことがなくて何をしようか困った経験がある人が約4割という結果も示されている。 少々古いデータだが、休みの過ごし方について、「何もせずにゴロ寝で過ごす」という過ごし方が20歳から64歳までの年代では3割前後を占めるという調査結果もある(2014年版・厚生労働白書)。 日本では、仕事で不安やストレスを抱えているものの、それらを十分に解消できるような満足がいく休み方を実践している人は少ないと言える。
目標設定して「能動的」に休むことが幸せの鍵
いい休暇・休息をとれたとき、心身の健康や幸福感が高まる感覚を持つ人は少なくないだろう。では、心身の健康や幸福感を高める休み方とはどのような休み方なのだろうか。 そのポイントは、自身がやりたいことを計画し、それを実行する「能動的な休み方」をすることである。 一人でとことん映画を見る、片づけをする、といった一人きりの過ごし方でも、友人と会話を楽しむといった他者との交流の時間を持つ過ごし方でもいずれでも構わない。 一方、ダラダラ何となく過ごすなどの受動的な休み方は、能動的な休み方の時ほど幸福感は高まらないとされる。 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの助教授らが、2020年12月に公共部門で働く従業員537人を対象に、年末の休暇における個人的なゴール設定の有無、自身の幸福度を尋ねる調査をした結果、休暇のゴールを設定した人は、設定しなかった人よりも幸福度が8%高いことが判明している。 その幸福度の差は、性別、年齢、職種、収入、配偶者の有無、在宅勤務の頻度、扶養家族の数とは関係なく見られたという。