福岡大大濠、ライバルの歓喜の写真に重ねた悔しさ「次に向こうに立つのは俺たちだ」【ウインターカップ】
◆バスケットボール・全国高校選手権ウインターカップ 福岡大大濠77―57鳥取城北(29日、東京体育館) 長かった1年をじっくりとかみしめるようだった。終了のブザーを聞き終えると渡邉伶音(3年)と湧川裕斗(同)が歩み寄ってねぎらった。福岡大大濠にとって3大会ぶり4度目の頂点。自然と涙もこぼれる。昨年の決勝で敗れた雪辱を果たした。 ■福岡大大濠と鳥取城北、決勝までの足跡 大黒柱で日本代表の渡邉は「この1年間、この景色だけを目指して頑張ってきた。本当に良かった」と表彰台で高々とカップを掲げた。昨年の12月29日はライバルの福岡第一が歓喜する姿を見た。今回はその場に立ち景色を眺め喜んだ。 ノーシードから快進撃を続けた鳥取城北をねじ伏せた。第2クオーター(Q)。一時逆転を許したが、注力してきた固い守備から攻撃の起点をつくり湧川が2連続で、渡辺は終了間際に3点シュートを決めるなどし44―34と一気に突き放した。 第3Q開始早々にも渡辺は外から決め3点を加点するなど16得点。初戦の2回戦から見せていた積極的な攻守を徹底した。両チーム最多32得点の湧川は「昨年の決勝で負けた思いを、コートの中で表現できた」と納得顔だ。 この1年、渡邉は代表などとのプレーの違いで戸惑った。湧川も状態が上がらず悩む時も多々あったが、学校の体育館にある福岡第一が優勝した瞬間の写真を見て踏ん張った。「次向こうに立つのは俺たちだ」―。誰もが胸に刻み攻守を磨いた。 全員が共通の思いを共有して努力を重ねた日々の先に、昨年とは一変した東京体育館の情景があった。片峯監督は「最後の最後まで自分たちを信じて、努力してきた結晶」と、悔しさをばねに大成長を遂げた選手をたたえた。(山田孝人)